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社説 政治に雇用守る執念見たい 

社説 完全失業率過去最悪
政治に雇用守る執念見たい 


 7月の完全失業率(季節調整値)が5・7%と過去最悪記録を更新した。
 

 前年同月に比べた失業者の増加数は100万人を突破した。
 
 景気の一部に持ち直しを示す指標が出ている。だが、産業界は雇用拡大には消極的だ。正社員も対象に加えて人員削減を強化しようという動きさえある。
 
 ことしの経済財政白書によると、リーマン・ショックに直撃された昨年秋以降、急増している企業内の余剰人員は統計の取り方によっては全産業で607万人、就業者の1割弱にも達するという。
 
 今は解雇を思いとどまっている企業から余剰人員とされる人たちがはじき出されれば失業率が大幅に上乗せされることになる。

■その場限りの合意に■

 雇用条件の悪化も目立つ。

 ハローワークへの求人内容をみると、パート労働に比べて正社員の落ち込みが目立つ。

 製造業では正社員などの常用雇用への新規求人がこの1年で半分以下になっているのに対して、臨時・季節従業員への求人は逆に増えている。

 競争力強化のため、固定費の増加につながる正社員の採用を極力圧縮しようという企業の意図が背景にある。

 企業がかたくなな人件費抑制姿勢を貫く限り、雇用環境の質の好転は難しい。

 今春闘で「政労使」が一体となって雇用の維持に協力することで合意した。

 事実上、その場限りに終わってしまっているが、合意の趣旨に添って具体化に向けた労使の協議を求めたい。

■正社員への道閉ざす■

 目下の選挙で各党ともマニフェスト(政権公約)に雇用対策を盛り込んでいる。

 選挙後、いの一番に手を付けてほしいのは雇用の質を向上させるための対策だ。少なくともこれ以上、劣化させてはならない。

 先の国会で廃案になった派遣労働への規制強化法案の成立が急がれる。

 束縛の緩い「自由な労働」への働く側の需要があるのも事実だ。

 企業経営に急激な打撃を与えることも避けるべきだろう。

 しかし、将来を担う若者たちが正社員への道を閉ざされ、やむなく派遣やアルバイトなど不安定な身分で働いている事態を放置すべきではない。

 多くの国は、雇用確保を経済政策の目玉の一つとし、政党は「何人雇用を増やせるか」を競う。

 1990年代後半まで失業率3%台までの、ほぼ完全雇用が続いた日本。あの恵まれた時代には一朝一夕に戻らないだろうが、1人でも多くの雇用を守るという政治家の執念に期待したい。

 働く者の3分の1まで増えた派遣など非正規労働に歯止めをかけるために選挙後、ただちに議論を再開し、派遣労働再規制法案の成立を急ぐべきだ。

2009年08月29日 宮崎日日新聞