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社説 次期政権で抜本対策を 

【社説】失業率最悪
次期政権で抜本対策を


 景気に明るさが出てきたとはいえ雇用はまだ底が見えない。近く誕生する次期政権は当面の失業救済や安全網強化にとどまらず、労働政策全体を見直して雇用の安定に取り組まなければならない。

 東京・西新宿にあるハローワーク新宿には毎日約三千人が詰め掛ける。離職票を提出して失業給付の手続きをする中年男性や職業訓練を申し込む女性、就職で相談員と話し込む若者など誰もが厳しい表情だ。職員は「殺気を感じる」という。

 こうした光景は愛知県はじめ全国に広がっている。七月の完全失業率は5・7%と過去最悪となった。一方、有効求人倍率は〇・四二倍と最低記録を更新中である。九月末までに失職する派遣やパート社員など非正規雇用労働者も二十三万二千人とさらに増えた。

 労働力調査によると三百万人を超える失業者の半分以上が非正規労働者だ。職業経験や技能に乏しい非正規の場合、再就職先は簡単に見つからない。今後、大型倒産が発生したり業績不振の流通・中小企業などが人減らしを始めれば失業者はさらに増加しよう。

 政府の緊急対策は大半が現行制度を拡充したものだ。雇用調整助成金を拡充して当面の失業急増を防ぐ。総額七千億円の緊急人材育成・就職支援基金を創設し生活資金付きの職業訓練を行う。これは新制度だが三年間限定である。

 総選挙後、次期政権は早急に雇用安定策を構築しなければならない。緊急対策の補強だけでなく政策全体の大胆な転換が必要だ。

 第一は非正規対策である。雇用者全体の三割以上を占めるパートや派遣などの非正規労働者の賃金と雇用を安定させる。とくに大量失業の一因となっている労働者派遣制度は日雇い・製造業の原則禁止など規制強化に踏み切る。労働者保護に軸足を置くべきだ。

 第二が若年者雇用のてこ入れだ。不況期こそ人材獲得の好機である。企業側は来年春の新卒者採用だけでなく、フリーターやニート(無業者)も含めた通年採用を積極的に行ってもらいたい。長期安定雇用を約束することこそ経営者の責任だ。不況だからといって安易な雇用調整を行うことは許されない。

 最後は地域差の是正である。失業率も求人倍率も地方は厳しい。新職場の創造が不可欠だが、そのためには介護・医療、観光、農林漁業などへ労働力を誘導させるための施策が不可欠だ。地方自治体に知恵が求められている。

2009年8月29日 中日新聞