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マタニティハラスメントは人類存続に対する否定だ 5件/労組法の成果を踏みにじる安倍/ほか 

【マタハラ訴訟】 最高裁初の判断に反応まっぷたつ この問題を解決しないと何が起こる?
社説 マタハラ訴訟 働く女性の権利 明確に
【社説】 「妊娠降格」訴訟 働く女性を守らねば
社説 妊娠で降格 マタハラを防ぐ社会に
マタハラ訴訟 「次世代にバトン」 安定して働ける環境に
社説 賃金体系見直し 違和感拭えぬ政府の口出し
平成26年10月 月例労働経済報告 厚労省

【マタハラ訴訟】最高裁初の判断に反応まっぷたつ この問題を解決しないと何が起こる?

投稿日: 2014年10月24日 11時37分 JST 更新: 2014年10月24日 11時38分 JST The Huffington Post

妊娠後に降格させられたのは、男女雇用機会均等法に違反するとして、広島市の女性が勤めていた病院側に損害賠償を求めていた訴訟で10月23日、最高裁は一審、二審の判決を破棄、広島高裁に差し戻す上告審判決を下した。この訴訟は、妊娠や出産をきっかけに職場で不当な扱いを受ける「マタニティ・ハラスメント」(マタハラ)に対する初の最高裁判断として、注目が集まっていた。

マタハラの撲滅に向けて情報発信している「マタハラNet」(正式名称:マタニティハラスメント対策ネットワーク)で活動している被害女性たちも同日、東京都内に集まり、判決を待った。午後3時過ぎに判決文がもたらされると「画期的な判決」「追い風になる」と被害女性たちからは拍手が巻き起こった。

被害女性たちが声を上げ始め、社会問題化しているマタハラ。ネットでも、上告審判決のニュースに対し賞賛が寄せられた一方、一部からは批判やバッシングもあり、その反応は二分していた。果たして、この訴訟では何が問題となり、マタハラの先には何があるのか。判決文や被害女性たちの声からあらためて考えてみた。

■本当に女性は「自分勝手」で降格は「仕方ない」ものだったか?

今回の訴訟では、広島市の病院で理学療法士として勤めていた女性が、第二子の妊娠をきっかけに、軽い業務への転換を希望、異動後に役職を解かれたことが問題とされた。男女雇用均等法均等法の9条3項では、妊娠や出産を理由に女性に不利益な扱いをすることを禁じており、女性のケースがこれにあたるかが訴訟の争点となっていた。

女性へのバッシングとして、「会社から求められた役割を果たせなくなったなら、降格になっても仕方ない」「役職そのままに仕事だけ軽くしてもらおうなんていうのは自分勝手すぎないか?」といった声がネットでは聞かれた。

しかし、本当に「仕方ない」もしくは「自分勝手」なケースだったのだろうか? 公開されている判決文から、女性がどのように働いていたかを詳しく見てみよう。 

女性は、リハビリ科で働いていた。当時、リハビリ科は、患者の自宅訪問をするチームと、病院内のリハビリチームとに分かれており、女性は訪問チームに所属。その後、病院内チームに異動し、勤続10年を経て副主任に昇格した。第一子の妊娠出産後時は病院内チームだったが、復帰後は再び訪問チームに異動、訪問チームから今度は訪問看護施設へ転属後も、やはり副主任として子育てをしながら働き続けていた。

女性は2008年、第二子を妊娠したことから、労働基準法65条3項に基いて、軽い業務への転換を請求したが、病院内チームへ異動した後、副主任を解かれてしまう。第二子を出産、職場復帰した女性を、病院側は再び訪問看護施設へと異動させた。その当時、女性よりも職歴が6年も短い職員が副主任に任ぜられていたことを理由に、女性が再び副主任に命ぜられることはなかった。

これが、訴訟にまで至った経緯だが、病院側は「裁量権の範囲内で行ったもの」と主張しており、一審でも二審でもそれが支持されていた。しかし、最高裁の判決文は、病院側の主張を覆す、踏み込んだものだった。

上告人(注:女性)は,妊娠中の軽易業務への転換としてのB(注:女性が働いていた施設)からリハビリ科への異動を契機として,本件措置により管理職である副主任から非管理職の職員に降格されたものであるところ,上記異動により患者の自宅への訪問を要しなくなったものの,上記異動の前後におけるリハビリ業務自体の負担の異同は明らかではない上,リハビリ科の主任又は副主任の管理職としての職務内容の実質が判然としないこと等からすれば,副主任を免ぜられたこと自体によって上告人における業務上の負担の軽減が図られたか否か及びその内容や程度は明らかではなく,上告人が軽易業務への転換及び本件措置により受けた有利な影響の内容や程度が明らかにされているということはできない。

他方で,本件措置により,上告人は,その職位が勤続10年を経て就任した管理職である副主任から非管理職の職員に変更されるという処遇上の不利な影響を受けるとともに,管理職手当の支給を受けられなくなるなどの給与等に係る不利な影響も受けている。そして,(中略)育児休業を終えて職場復帰した後も,本件措置後間もなく副主任に昇進した他の職員の下で,副主任に復帰することができずに非管理職の職員としての勤務を余儀なくされ続けているのであって,このような一連の経緯に鑑みると,本件措置による降格は,軽易業務への転換期間中の一時的な措置ではなく,上記期間の経過後も副主任への復帰を予定していない措置としてされたものとみるのが相当であるといわざるを得ない。

(第2231号 地位確認等請求事件 平成26年10月23日 第一小法廷判決)

つまり、異動による女性の業務負担が減ったのかは明らかではなく、副主任という管理職としての実態も判然とせず、降格されたことで、女性に対する業務の負担が減ったとは明らかではないと指摘。女性にとっては、勤続10年で得た管理職の任を解かれるという不利な影響が与えられ、育休後も副主任へ復帰していないことから、妊娠による軽い業務への一時的な措置ではないとした。

そして、女性が降格によって受けた管理職の地位と手当などの喪失は重大であると断じ、女性の降格に、男女雇用機会均等法9条3項の趣旨及び、目的に対する特段の事情は認められないと結論づけた。

■大介護時代に向け、マタハラでつまづいている場合ではない

これまで病院側は、女性が復帰後も降格の扱いのままだったことに対し、すでに職場には副主任がいたことから、男女雇用機会均等法に違反しないとしてきた。これに対しても、判決文では櫻井龍子裁判官による補足意見として、「十分に審理が尽くされた上での判断とはいえないといわざるを得ない」と断じている。

そして、育児・介護休業法から見ても、「育児休業後の就業が円滑に行われるよう」しなければならず、厚労省の指針でも、「育児休業後には原則として原職又は原職相当職に復帰させることが多く行われていることを前提として他の労働者の配置その他の雇用管理が行われるように配慮すべきことが求められている」ことから、検討されるべきとしている。

この判決文を読んだマタハラNetの集会では、参加した弁護士や被害者の女性から「画期的な判決」という声が上がった。男女雇用機会均等法の9条3項に触れ、病院側に対し特別な事情や女性の明確な同意がない限り、降格は違法であると踏み込んだ明示がされていたからだ。

最高裁の判断は、企業の現場にも影響力を持つため、これによって違法の立証が難しいと泣き寝入りをしていたケースへの判断も変わってくることが予測され、企業側も今後、厳格に対応せざるを得なくなるだろう。

マタハラNet代表の小酒部(おさかべ)さやかさんは、「広島の女性の意にかなう判決が出たことは喜ばしいことです。権利ばかりを主張しているとか、わがままだとか、そういう声もありますが、それだけで3年も4年も裁判ができるでしょうか。仕事にプライドを持ち、後に続く人のためにも病院に対して改善してほしいという思いがあった。広島の女性に対して、拍手を送りたいと思います。私たちも勇気づけられました」と話した。

さらに小酒部さんは、今後は育児休暇ではなく、介護休暇を取らなければならない人も増える大介護時代に入ると指摘。「働き方の違う人たちが職場にあふれる時代になります。産休、育休でつまづいている場合ではない。私たちマタハラNetは企業の人たちとも手を取り合って、働き方の問題解決のきっかけになればと思っています。新しい働き方の幕開けになってほしいです」と語った。

マタハラされた女性たちに対し、「職場に迷惑をかけている」「自分の仕事にしわ寄せがくる」と苦言をあらわにする人もいる。しかし、マタハラ問題は単に女性たちだけのものではなく、さまざまな事情を抱えた人、そうした人たちとともに働くすべての人たちに関わる労働問題だ。現在は妊娠や出産に関係がないと思っている人でも、今後は高齢化社会による介護や、自身の病気などを理由に長時間労働が難しくなることが考えられる。私たちは今、働き方の多様性を実現し、あらゆる人が安心して働ける環境づくりをすることが求められているのではないだろうか。



社説 マタハラ訴訟 働く女性の権利 明確に

(10/24)北海道新聞

 働く女性が安心して妊娠、出産、育児できるように―。そんなメッセージを込めた司法判断と受け止めたい。

 妊娠を理由に管理職から降格させられたのは違法として、広島市の女性理学療法士が勤め先だった病院側を訴えた裁判で、最高裁は管理職解除を認めた二審判決を破棄し、差し戻した。

 女性が仕事と子育てを両立できる社会を目指すルール作りが求められている。判決は今後の議論の足がかりとなろう。

 この女性は2004年、管理職の「副主任」に昇任した。しかし妊娠した08年に軽い業務への異動を希望すると、副主任職をはずされ、出産・育児休暇終了後も元の役職には戻れなかった。

 男女雇用機会均等法では、妊娠、出産などを理由にした女性への不利益な扱いを禁じ、労働時間などへの配慮を明記している。

 今回の判決は雇用均等法に照らした初判断である。

 妊娠中の業務軽減に伴う降格は原則禁止と明快に判断を下し、自由意思で承諾しているか、業務上の必要性など職場に特殊な事情がある場合を例外として挙げた。

 厳格な要件を示すことによって、事業者に適切な労働環境づくりを求めたものといえる。

 女性が妊娠や出産を理由に、職場で降格や解雇など不利益な扱いを受けるマタニティーハラスメント(マタハラ)は決して許されないことだが、今なお横行している現実がある。

 このため妊娠しても、不利益な扱いを恐れて上司に報告せず、長時間・夜間労働を続けて、流産する女性は少なくないという。

 問題の根っこにあるのは、家庭より職場の事情を優先する古い発想である。最高裁判決は働く女性の権利を明確にし、こうした社会の悪弊に警鐘を鳴らしたと考えたい。

 安倍晋三首相は「女性が輝く社会」を提唱し、企業側に女性の管理職登用を求める法案を臨時国会に提出した。

 ただ、制度改革だけでは事は進まない。女性の活躍を後押しする上でも、マタハラやセクハラを職場から一掃しなければならないのは当然だ。

 その上で男性が職場や家庭で女性を支えられるよう、長時間労働の解消など、社会全体でワークライフバランス(仕事と生活の調和)を考えることも必要である。

 そのために、国民一人一人の意識改革も重要だ。



【社説】 「妊娠降格」訴訟 働く女性を守らねば

2014年10月24日 東京新聞

 妊娠で降格人事を受けた女性の裁判だった。最高裁は男女雇用機会均等法の精神を忠実にくみ取る判断をした。働く女性が安心して出産できる社会が実現できないと、輝きなど生まれない。

 この訴訟は広島市の病院勤務の理学療法士が起こした。女性は過去に流産の経験があった。だから、妊娠したとき、身体的な負担が軽い業務への配置転換を望んだ。確かに部署が替わったものの、それまで付いていた「副主任」の肩書がなくなってしまった。

 副主任の手当は月額九千五百円あったが、それも失った。上司に抗議したが、「おなかの子のことを一番に考えて」と言われ、そのまま産休と育休をとった。復帰先には既に別の副主任がいて、肩書が戻ることはなかった。だから、この降格人事は不当だとして、女性は賠償を求めたわけだ。

 男女雇用均等法はさまざまな不利益な取り扱いを禁止している。妊娠や出産したことを理由にして、解雇することはもちろん許されない。退職の強要や降格、減給も禁止事項だ。不利益となる配置の変更も禁じている。

 だが、今回のケースは一審、二審とも女性が敗訴した。「職位の任免は人事権の行使として、使用者の広範な裁量に委ねられている」と、事業主側の裁量権を重くみる論法を使ったのだ。

 最高裁は異なった。まず、不利益な取り扱い禁止の規定について、「事業主による措置を禁止する強行規定」と解した。例外は本人が自由な意思で降格を承諾した場合などに限定した。

 かみ砕いて言えば、妊娠・出産では特別な事情がない限り、降格人事はできない-、それを確認したといえよう。均等法の精神に忠実な姿勢だ。確かに事業主の裁量が幅を利かせれば、均等法は“空文化”しかねない。

 この考え方は女性の労働環境の現状に一石を投ずるだろう。いわゆる「マタニティーハラスメント」が横行する背景があるからだ。全国の都道府県労働局への相談総件数は、ここ数年三千件超というありさまなのだ。

 勤め先から不当な仕打ちを受け、つらく悔しい思いをしているに違いない。泣き寝入りしている女性も多いのではないだろうか。

 均等法が求めるのは、子どもを産み、育てながら、仕事も続けられる世界である。もっと安心して、育児ができる職場環境づくりこそ求められよう。



社説:妊娠で降格 マタハラを防ぐ社会に

毎日新聞 2014年10月24日 02時33分

 妊娠をきっかけにした配置転換で女性労働者を降格させた事業者の姿勢を、最高裁が厳しく批判した。広島市の理学療法士の女性が、勤務先の病院を訴えていた裁判だ。

 男女雇用機会均等法は、妊娠や出産を理由とした女性に対する不利益な扱いを禁じている。女性は管理職である副主任だったが、妊娠を理由とした異動の後、ポストを外された。訴訟では病院の対応が問われた。

 1、2審判決は「降格は女性の同意を得ていた」という病院の主張を認めたが、最高裁は「妊娠での降格は原則として違法」と初めて認定し、広島高裁に審理を差し戻した。

 同法は、女性労働者の健康確保や、母性尊重と職業生活の充実を理念とする。最高裁はその実現に重きをおく考え方も判決の中で示した。女性が活躍できる社会の実現を目指す以上、妥当な判断だ。子供を産み育てながら働く女性を、企業や働く人全体で支える契機としたい。

 女性は、いったんは渋々降格を了解していた。だが、判決は、降格などの不利益処分に際しては、「本人の承諾」という外形だけでなく、処分の影響について本人が事業者から適切な説明を受け十分に理解して決めたか否かが肝心だと指摘した。

 女性の場合、管理職の地位と手当を失うという重大な影響を受けるのに、育児休業から職場復帰する際に副主任に戻る可能性などについて説明を受けた形跡がなかった。最高裁はそこを重視し、女性が降格を受け入れたとは言えないとした。

 近年、「マタニティーハラスメント(マタハラ)」という言葉が使われる。働く女性が妊娠や出産を理由に不利益を受けたり、職場で肉体的、精神的な嫌がらせをされたりすることを指す。意に反した降格もマタハラだと女性は主張していた。

 連合が5月、働く女性634人を対象に行った調査では、4人に1人が「マタハラ被害を受けた」「周囲に被害者がいる」と回答した。特に非正規労働者が被害を受けやすい。

 2005年に次世代育成支援対策推進法が施行され、11年からは従業員101人以上の企業は従業員の仕事と子育ての両立を図る施策の策定と、労働局への届け出が義務づけられた。育休の取得率など個別目標も設定されるため、実際に育休を取る従業員が増えたとされる。一方で、厳しい競争環境の中で職場にゆとりがなく、カバー体制などが不十分だ。マタハラを生む背景として考えられる。

 女性の登用を阻む要因として、時間外労働や、進まない在宅勤務制度が挙げられるが、マタハラにも通じる。男女を問わず働き方を変える仕組みを企業が整備することが、女性への差別をなくすことにつながる。



Listening:<マタハラ訴訟>「次世代にバトン」 安定して働ける環境に

2014年10月24日 毎日新聞

 妊娠を理由とした降格を原則違法とした23日の最高裁判決は、マタニティーハラスメントの被害を受けながら泣き寝入りしていた女性たちも待ち望んでいたものだった。女性が長く安定して働ける環境作りを後押しした形で、専門家からは企業の意識改革につながると声が上がった。

 「仕事と妊娠の両方を取るのは欲張り。君だけ特別扱いできない」。川崎市の小酒部(おさかべ)さやかさん(37)は、中規模企業に勤めていた36歳の時に妊娠し、上司に勤務時間の短縮を要望した際に言われた言葉が忘れられない。

 2度目の妊娠だった。1度目は仕事への責任感から会社に告げず、終電まで働いた。妊娠が分かった7週後に流産し、双子の命を失った。「子供を大事にしなかった天罰だった」。後悔の念が頭にこびりつき、2度目は勇気を振り絞ったが、会社の返答は「ノー」。退職を勧められた。我慢して仕事を続け、再び流産。その後、会社を辞めた。

 会社の対応が、男女雇用機会均等法に反することを後に知った。「専業主婦をするのも、仕事を続けるのも自由のはず。価値観が多様化しているのに周りと違う生き方を排除する世の中はおかしい」。今年7月、妊娠や育児と仕事を両立する女性の権利を守る「マタハラNet」を設立。同様の被害を受けた女性たちで集まり、苦しみをぶつけ合いつつ、法を学んでいる。

 この日、小酒部さんは仲間と集まり、判決を拍手で歓迎した。「妊娠、出産で仕事を奪われる時代であってほしくない。(判決は次世代の女性に)より良いバトンを渡す大きな一歩になった」と喜んだ。【川名壮志、山本将克】

 ◇「妊娠巡る降格、基準示された」 原告代理人

 最高裁の判決を受けて、原告代理人の下中奈美弁護士らが23日、広島市で記者会見し、「妊娠を契機とする降格について基準が示された」と評価した。広島市に住む原告の女性は弁護士を通じて「安心して子を産み、育てながら、働きがいのある仕事が続けられるように、判決が役立ってほしい」とのコメントを出した。

 下中弁護士によると、女性は判決を聞き、「うれしいです」と笑顔を見せたという。女性はコメントで「妊娠をきっかけにした処分でこれまで何度も憤り、傷つき、悔しい思いをしてきた。諦めず声を上げてよかった」と喜んだ。【石川裕士】

 ◇昨年度の相談3371件

 厚生労働省によると、国には昨年度「妊娠や出産で不利益を被った」「母体の健康が配慮されなかった」などの相談が3371件寄せられた。この数年は3000件前後で推移している。

 この数字はセクハラ(昨年度6183件)のほぼ半分だが、マタハラ問題に取り組む連合非正規労働センターの村上陽子・総合局長は「手を挙げられないマタハラ被害者は他にも多数いる」とみる。センターが昨年実施した意識調査でも、マタハラ被害を受けた女性の45・7%が「我慢した。人には相談しなかった」と回答。相談者からは「子供のことに集中しているので、闘うことを諦めた」などの声が寄せられているという。

 法政大キャリアデザイン学部の武石恵美子教授(人的資源管理論)は「妊娠や出産を契機にした降格は、これまで雇う側の裁量に委ねられブラックボックス化していた」と指摘。

 「最高裁がこうした降格を原則禁止としたことで、企業側には今後、徹底した話し合いの中で女性が望むキャリアの在り方を決定していくことが求められる。女性が働く環境整備が前進するきっかけになるのでは」と話す。【山本将克】



社説 賃金体系見直し/違和感拭えぬ政府の口出し

 どうしても違和感が拭えない。政府、経済界、労働界の代表による22日の政労使会議で本格化した「年功序列型賃金」の見直しをめぐる議論である。

 「子育て世代の処遇を改善するためにも年功序列の賃金体系を見直し、労働生産性に見合った賃金体系に移行することが大切だ」。そうした認識を示し、そもそも議論を求めたのは安倍晋三首相である。

 年齢や勤続年数で給料が上がる仕組みを見直すことで、中高年の賃金を抑制する一方、子育て世代や非正規労働の若者らの収入を手厚くし、経済の好循環につなげる狙いとみられる。その趣旨は分からないではない。

 だが、個々の企業の賃金体系は「労使で議論してきた積み重ね」(古賀伸明連合会長)で形作られてきたものだ。

 そうした企業の制度に対し、政府が口を出し変更を迫る姿勢はいかがなものか。労使交渉で決めていくのが筋であり、「越権」のそしりを免れまい。

 年功型賃金は、終身雇用と共に戦後の経済発展を支えた日本型雇用慣行の柱といえる。

 バブル崩壊後、その維持が難しくなり、従業員の業績で評価する成果主義を導入する企業が増えた。新興企業や外資系企業にはもともと年功色のないところが多いとはいえ、歴史ある企業では今も色あせてはいない。

 年功型賃金には、企業帰属意識を強めたり、従業員の定着を促し技能や経験を深めたりできるメリットがある。結婚や育児を含め、人生設計を裏付ける意味合いもある。そうしたことから、政労使会議の場で連合は見直しに反対している。

 仮に首相が望むように「右倣え」式で、年功型賃金体系が広く見直されたとして、果たして子育て世代や若者らの賃金が増える保証があるのかどうか。そのことを政府が担保できるのだろうか。

 総人件費を抑えよう、抑えようという意識が常に働くのが企業であるとすれば、中高年層の賃金が引き下げられるだけでとどまる恐れも否定できまい。

 政府の経済財政諮問会議では女性の就労を後押しするためとして、官公庁や企業が、主に専業主婦世帯の職員・従業員に支給する配偶者手当の見直しが取り上げられている。

 国家公務員での先行実施を検討し、企業については、政労使会議で議論を促そうという雲行きだ。だが、このことも筋違いというしかない。個々の労使を飛び越えて政府が口を挟むことではあるまい。

 子育て世代を支えて、女性の就労を促進し、非正規労働の若者らの待遇改善にもつなげようと、企業の賃金体系や手当に口出しするのが、政府の役割ではあるまい。

 少子化を食い止め経済の活力を確保するためには、税制や社会保障の仕組みを見直し、保育施設の拡充や、非正規の正社員化を促す施策の展開を図るといった多様な対応が必要だ。そうしたことに取り組むのが政府の責務ではないのか。

2014年10月24日金曜日 河北新報



平成26年10月 月例労働経済報告 厚労省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000062598.html

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