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個人の持ち時間を盗む企業と盗まれる労働者、盗まれないためには鍵をかける必要がある/アベ与党が勝利すると日本は終わる/妊娠が社会悪になる日/予算要求して使わないことは罪にはならないのか/国民の金をカジノにつぎ込むアベ政権/奴隷カースト制度を成立させてはならない/職員給与を上げないで地域経済に何かいいことがあるのか 

長時間労働減らす改革を 過労死防止法施行 遺族らつどい 京都
再び格差拡大が進行する
論説 「妊娠で降格」違法 意識、職場を変える契機に
増税の一方で…税金2800億円をドブに捨てる役所のデタラメ
社説 年金運用見直し 組織改革が先ではないか
私は生涯派遣なのか 「期間制限撤廃」 改正案に不安
名古屋市長 勧告拒否 労組反発 職員給与引き上げ巡り

2014.11.9 07:00更新 産経ニュース

長時間労働減らす改革を 過労死防止法施行受け遺族ら京都でつどい

 過労死・過労自殺を国の責務で防ぐ「過労死等防止対策推進法」の施行を受け、法律の制定を求めてきた遺族や弁護士らが8日、京都市中京区の京都弁護士会館で「過労死を考える京都のつどい」を開いた。

 過労死防止法は今月1日に施行。対策を進める大綱の策定を国に義務づけたほか、11月を過労死等防止啓発月間と定めた。月間に合わせて全国28カ所で順次、シンポジウムが行われる予定で、京都のつどいは関西最初の開催となった。

 つどいでは「全国過労死を考える家族の会」代表、寺西笑子(えみこ)さん(65)=京都市伏見区=が講演。過労自殺した夫の無念を晴らすために10年間続けた活動を振り返り「過労死は、まじめで責任感の強い人ほど被災する理不尽な死だ」と指摘した。

 また、過労死防止法の制定に至った経緯を紹介。「長時間労働を減らす改革をすることが私たちの責任。働く人も意識を変えてほしい」と訴えた。

 続いて古川拓弁護士(京都弁護士会)が法律の内容を解説。「過労死の実態は必ずしも十分に把握されていない。法律の中でそうした現状を認め、国と地方自治体の主体的な責務を明記したことが特徴といえる」と述べた。



金子勝 2014年11月09日 18:27 BLOGOS

再び格差拡大が進行する

日銀の量的金融緩和の拡大は何をもたらすか

10月31日に、前夜に米国の株価が221ドル上昇したのを受け、政府はGPIFで年金の株式運用を倍にするニュースを流し、日銀は追加的金融緩和策を打ちました。政治とカネ、経済指標の落ち込みで安倍政権が苦しい状況で打った株価つり上げ策は、「効果」を上げました。

10月31日の株価は755円上昇。為替レートも112円につける円安になりました。さらに11月4日も、株価は大幅な株価上昇で、株価は一時1万7千円を超えました。円も114円まで下落しました。

そもそもこうした株価をつり上げ策は、年金を使い国民の財産をリスクにさらし、日銀は独立性を失って出口を失うという問題があります。加えて、こうした株価引き上げ策で本格的に経済がどれほど好転するだろうかという問題もあります。

いくつかの現象に着目する必要があります。

●ミニバブルのように株価だけ上昇しても、給与が上がらなければ、消費はなかなか増えません。この間、実質賃金は低下しており、実際、9月も家計消費は5.6%も減少しています。円安は輸入物価を押し上げますから、家計消費にとってマイナス要因です。

●他方で、円安が進行しても、日本企業の国際競争力低下、工場のアジア移転に伴う逆輸入の増加、原材料の輸入額増加で貿易赤字は改善しません。潤うのは一部輸出企業だけで、むしろ原材料の値上げで中小企業は一層苦しくなります。

●より問題なのは、アベノミクスの政策を見ると、格差が一層拡大しかねない点にあります。まず第1の矢である、金融緩和よる株高や大都市中心部の不動産価格の上昇で、大手企業や富裕層が潤います。しかし、その一方で、第3の矢である雇用・医療・介護などの「岩盤規制」を打ち破るという「成長」戦略を実行すれば、格差と貧困を拡大させて、日本の社会は底割れを起こす危険性があります。

小泉政権時代がそうだったように、金融緩和政策と「構造改革」の組み合わせは、格差と貧困を拡大するのです。

雇用流動化政策は何をもたらすか

今国会に「労働者派遣法改正案」が提出されています。派遣労働者は部署さえ変えれば3年の派遣期間がなくなり、ずっと派遣にとどまるために「生涯派遣法案」と批判され、派遣社員は一生、派遣から抜け出せなくなる可能性が高くなります(もっとも50代60代になって派遣では働けませんが)。

この法律の恐ろしさは、日本の労働市場全体をブラック化させてしまうことです。

いま20代、30代の労働者の3割~4割が〝非正規社員〟と失業者です。彼らの中には不本意ながら非正規になっている人も多く、正社員になりたがっています。ブラック企業の初任給は、表向き年収400万円前後もあり、年収200万円以下の派遣社員にとっては、すぐにでも飛びつきたくなる金額です。

しかし、この年収には〝固定残業代〟という形で残業代込みになっているケースが多いのです。そのため、どんなに残業しようと給料は増えません。しかもごく少数しか「選抜」されて上にいけないようになっており、給料のカーブもずっと寝たままです。いわゆる「使い捨て」を前提に給与体系が組み立てられているのです。とくに飲食チェーン、小売り量販店、IT、建設、運輸、レジャーなどのサービス産業において多くのブラック企業が存在し、時には過労死などを引き起こしています。これらのブラック企業では早期の離職率が異常に高くなっています。肉体的にも精神的も、もたないからです。

いくつかの潜入ルポルタージュなどを見たり、学生や働いた経験のある者に聞くと、ブラック企業では、夜10時にタイムカードを押し、その後、深夜まで働いてもカウントされなかったり、ある有名な外食チェーンでは、若い店長は、朝5時に店を閉めた後、後片づけとレジ締めをやり、朝9時には昼食の食材が運び込まれるので、店内で仮眠をとって働く状態になっています。また、ある運送会社では、一日では絶対に運びきれない荷物をノルマにされるため、荷物をもって走り、早朝から深夜まで配達を強いられています。

ブラック企業にとっては、どんなに社員を酷使しようが、次々と社員が辞めていこうが、正社員になりたがっている派遣社員が数多くいるので、補充はいくらでも利きます。こうして派遣の拡大は、働き方まで壊していくのです。

にもかかわらず、政府は「労働者派遣法改正案」を成立させて、さらに派遣を固定化させようとしています。しかも、残業代をゼロにする「ホワイトカラーエグゼンプション」まで導入しようとしています。当面、年収1000万円を超える社員を対象にしますが、第1次安倍内閣で打ち出されていた年収400万円にいずれ引き下げる可能性が高いでしょう。そうなったら、いまブラック企業が行っている過酷な長時間労働はすべて合法化されてしまい、こうした壊れた働き方がさらに多くの企業にまで波及してしまう恐れがあります。

社会保障の削減と負担増:消費税増税はどこへ消えた

他方、低所得者に重くかかる消費税増税の実施は、「税と社会保障の一体改革」だったはずなのに、税収アップ分は公共事業と法人税減税に消えてしまい、社会保障の拡充にほとんど結びついていません。

むしろ、社会保障のサービス削減と負担増が続いています。いくつかあげてみましょう。

●すでに成立した「地域医療・介護総合確保推進法」では、介護施設に入居できるのは要介護3以上の高齢者に限られるようになります。しかも認定が厳しくなっています。また介護報酬の引き下げが検討されていますが、これではただでさえ低賃金の介護従事者はますます減ってしまうでしょう。そのうえ、要支援の訪問介護などは市町村に丸投げしてしまいます。いずれ財政基盤の弱い弱小市町村は、これらの介護サービスを維持できなくなる危険性があります。

●すでに介護報酬に組み込まれている入居費について、低所得者には配慮するとしていますが、1万5千円ほどを新たに利用者から徴収するように検討されています。

●政府は、75歳以上の高齢者が加入する「後期高齢者医療保険」の保険料の「特例措置」を段階的に廃止する方針を打ち出しています。9割減免されている、年金収入が少ない高齢者にとっては、保険料の減免廃止は生活に大きな打撃となります。

●生活保護の住宅扶助の削減も検討されています。

●さらに従来、年金の伸びを物価の伸びより低く抑える「マクロ経済スライド」は物価が下落するデフレでは適用されませんでしたが、デフレでも給付を削る方向を打ち出しています。

いま高齢者は格差が拡大し、二極化しています。これらの負担増が実施されれば、わずかな年金収入に頼っている高齢者の生活は成り立ちません。すでに問題化している「老後破産」がますます現実味を帯びてきます。

これまで述べてきたように、一方で、日銀の金融緩和は、株価と大都市中心部の不動産価格を上昇させます。他方で、円安に伴う輸入物価の上昇と消費税増税が家計を直撃し、雇用流動化と実質賃金の低下は家計消費を縮小させます。こうして格差が再び拡大していきます。

アベノミクスという新しい衣をまとっていますが、格差を拡大し国際競争力を低下させた小泉「構造改革」と同じパターンになっていることがわかります。しかも、日銀の金融緩和の規模は「異次元」なので、財政赤字=国債を買い続ける日銀は出口を失っていきます。

デフレの正体?

ではデフレを克服するための正しい政策手順とはどうあるべきなのでしょうか。

最近、その手がかりになる、ちょっとした出来事がありました。それは、安倍首相がツイッターで藻谷浩介氏の「人口減少=デフレの正体」という議論を批判したことです。一国の首相が、特定個人を名指しでNHKに出すのはおかしいと言っている部分は言語道断ですが、安倍首相がいう「批判」がすべて間違っているとは言えません。

銀行利害関係者は隠したがりますが、日本の「失われた10年」や最近の欧州を見れば分かるように、バブル崩壊に伴う不良債権処理の失敗と急激な信用収縮(貸し渋りや貸しはがし)がもたらす負債デフレ(デッド・デフレーション)がデフレの直接的原因だからです。

彼らは、銀行の不良債権問題や銀行もからむ原発=不良債権問題についてふれないか、ふれても正面から論ずるのを避ける傾向があります。この国が行き詰まっている本質的な部分がすっぽり抜け落ちているのです。

デフレが起きてきたプロセスについて、問題をきちんと整理しないといけません。

① まず経営者も監督官庁も誰も責任をとらずに不良債権を隠すために、バブル崩壊に伴う不良債権処理の失敗が、信用収縮(貸し渋り・貸しはがし)と負債デフレ(デッド・デフレーション)をもたらしました。

② そして、企業は内部留保を増やして設備投資をせずに、雇用の流動化と賃金切り下げを進めました。それによってデフレから抜け出せなくなってしまいました。

③ さらに、若者の雇用破壊は少子高齢化・人口減少を加速させ、それに伴う経済の縮小圧力がデフレを一層深めていきました。

このように③の人口減少を克服するだけではデフレは止まりません。翻って安倍首相は、この悪循環構造を断ち切るために何をしているかが問われてきます。

では、安倍政権は今何をしているのでしょうか。

① 90年代と同様に、ゾンビ東電の救済を最優先し、不良債権化した原発の処理を怠り、安全性を無視して再稼働させたり輸出したりしようとしています。そして、地域で投資が伸びている再生可能エネルギーの投資を止めて、産業構造の転換を遅らせようとしています。

② 先にみたように、労働者派遣法を改悪して派遣を拡大・固定化させ、実質賃金の低下、ブラック企業化を進めて、働き方さえ壊そうとしています。

③ これでは若者は結婚できず、出産もできなくなるために少子高齢化・人口減少を一層加速します。そのうえ、高齢者福祉の切り捨てを行っています。

このように①~③は相互に絡み合いながら、日本経済をデフレ状況に追い込んできたのです。そして安倍政権は、結局、これまで失敗してきたのと同じパターンを繰り返しています。そこに最大の問題があります。

では、日本経済再生のためには、どうしたらよいのでしょうか。

安倍政権が行っている①~③の政策をそれぞれ覆していくことが必要です。

まず何よりも、ゾンビ東電を処理し、福島の環境回復に全力を挙げるとともに、原発=不良債権を処理しながら電力システム改革を急がなければいけません。それによって20世紀の集中メインフレーム型から21世紀の地域分散ネットワーク型の産業構造と社会システムに転換していくことです(昨年12月1日のブログ記事参照)。これによって地域に雇用を創出しつつ、雇用流動化政策を止めていくのです。

内橋克人氏はフード・エネルギー・ケアの頭文字をとってFECと言っていますが、FECから経済を立て直すことが重要です。その際、クラウド・コンピューティングとICTの発達はこれらの分野を一気に先進的・先端的なものに変えてしまう点に注目しなければなりません。地産地消は出発点になりますが、それだけで地域衰退を止めるのは困難です。

エネルギー分野では、地域の中小企業・農業者・市民が出資して、自らの地域資源を活かしてどのような再生可能エネルギーに投資するかを自ら決定し、その売電収入が地域に返ってくるようになります。それは国からもらう補助金ではなく、地域の自立をもたらします。さらに将来の送配電網はスマートグリッドになっていき、発電所、住宅、ビルから町までスマート化が進むでしょう。そして国全体では、送配電網、建物、車や家電製品にいたるまで、スマート化による技術革新をもたらしていくのです。そのためには。原発=不良債権処理を行うとともに、電力システム改革を急がないといけません。

農業も儲かるようにしないかぎり、若い担い手が出ていき地域の衰退は止まりません。農村でも、小規模ですが、直売所のPOSシステムがそうであるようにICTによる革新が起きています。やがて直売所のネットワーク化も起きるでしょう。環境や安全という社会的価値を基軸に置きながら小規模農業でも、6次産業化によってやっていけるようになります。近著『儲かる農業論』で書いたように、大規模専業化路線は非現実的です。エネルギー革命とともに、エネルギー兼業農家が生まれてきます。つまり6次産業化+エネルギー兼業農家が新しい農家経営モデルになるのです。もちろん、そのためには電力システム改革が前提となります。

福祉の分野でも、中核病院、診療所、介護施設、訪問医療・看護・介護などをネットワークで結びつけ、一人ひとりの利用者にかかりつけ医やケースマネージャーがはりついて、利用者のニーズに合ったサービスを効率的に供給できるようにし、多様で複雑なニーズを支えていかなければなりません。しかし、都市と農村など地域の特性に応じて福祉サービスのニーズが大きく異なります。そこで供給者と利用者、住民が決定に参加して地域の事情に応じた供給体制を組み立てる必要性が生じます。つまり地域分散ネットワーク型への転換は、意思決定を含む社会システムをも大きく変えていくのです。

このようにICTの発達によって、FECの分野では消費者のニーズに近い地域単位で決定していく方が優位になってきます。中央から工場を誘致したり、公共事業を引っ張ってきたりするような集中メインフレーム型の産業構造はもはや限界に達しつつあります。新しい技術の発展にしたがって、地域民主主義をベースにした地域分散ネットワーク型に転換していくことで、疲弊した地域経済を再生させていく――まさに国のあり方をも変えていく大胆なビジョンが求められているのです。



論説 「妊娠で降格」違法 意識、職場を変える契機に

(2014年11月9日午前6時50分)福井新聞

 働く女性が妊娠や出産を機に退職を迫られたり、嫌がらせを受けたりするマタニティーハラスメント(マタハラ)をめぐる訴訟で、最高裁は雇用主側に意識改革と厳格な対応を迫る初の判断を示した。

 男女雇用機会均等法の施行から30年近く。判決は、働く女性の母性が尊重され、能力が十分に発揮できる社会の実現へ一石を投じたといえよう。

 ■判決が追い風に■

 広島市の病院に勤務していた理学療法士の女性は、産休と育休を取得する前に軽い業務への転換を求めたところ、管理職のポストから外された。妊娠後の降格は男女雇用機会均等法に反するとして病院側に賠償などを求めた。一審と二審は希望による人事上の措置などの理由で退けられた。

 最高裁は「妊娠による降格は原則禁止で、女性が自由意思で同意しているか、業務上の必要性など特殊事情がなければ違法で無効」とし、妊娠などを理由とする不利益処分を禁じた均等法を踏まえ、雇用主の基本ルールを示した。

 連合が5月に約630人を対象に実施した調査によると、4人に1人が妊娠や出産に伴い職場で解雇や嫌がらせを経験したと回答するなど、近年マタハラが社会問題化。最高裁判決は仕事と育児を両立する女性にとっては追い風になるといえよう。

 ■相談は2千件超■

 働く女性を悩ませるマタハラは、1986年に男女雇用機会均等法が施行され、女性の社会進出が進み徐々に広がったといわれる。妊娠、出産で退職、降格を迫られたり、休業中に仕事をカバーしてもらう同僚から嫌みを言われたりと、さまざま。

 厚生労働省によると、2013年度に均等法で禁じられた妊娠、出産による不利益取り扱いに関する相談は2090件、妊娠中や出産後の健康管理に関する相談も1281件あった。福井労働局への「不利益」に関する相談は、本年度上半期だけで前年度と同じ13件に上る。「妊娠して体調不良で休んだ。休むならパートにと」という相談もあったという。

 働く女性の権利について、均等法はもちろん、労働基準法にも規定があり、産前産後の休業や深夜勤務の免除などが定められている。これに対し雇用主は妊娠、出産した従業員への対応に戸惑い、中小企業は人員確保などに余裕がないという事情もあるようだ。

 法や制度は整ってきたが、女性の置かれた状況は、まだ十分とはいえないのが現状だ。

 ■泣き寝入りも■

 先の連合の調査で、「マタハラという言葉を知っている」と答えた人は6割を超える。約2割だった前年から大幅に伸びた。一方で、半数もの女性が、産休・育休の権利が法律で守られていることをよく知らなかった。

 妊娠したり、小さな子どもを抱えたりすると訴訟は無理とし、声を上げられないまま泣き寝入りする女性は少なくないとの声がある。女性側も法律を知り、相談窓口を利用するなど、自分を守る意識が必要だ。

 政府は「女性が輝く社会」を掲げる。妊娠で仕事を外され、出産後に戻る場所がないようでは、女性の活躍は望めるはずもない。最高裁の判断を、安心して子どもを産み育てる女性を職場、社会で支える契機としたい。

 マタハラは単に女性だけの問題ではない。気兼ねせずに働ける職場と、人を思いやるという意識の醸成が求められる。



増税の一方で…税金2800億円をドブに捨てる役所のデタラメ

2014年11月9日 日刊ゲンダイ

 まったく懲りない連中である。役所の巨額の無駄遣いが明らかになった。会計検査院は7日、官庁や政府出資法人など2013年度の決算検査報告書を安倍首相に提出。指摘された税の無駄遣いは595件、2831億円に上った。

 無駄遣いのトップは“常連”の厚労省で、金額は実に約888億円に上る。長期失業者に職業訓練を行う人材育成支援事業では、使う見込みのない基金約752億円が未返納だった。

 使途をめぐって以前から問題が指摘されている復興予算関連では、福島原発事故で被害を受けた農家への交付金595億円が未使用で、国庫に返納されていなかった。

 6年後の東京五輪関連では、日本オリンピック委員会(JOC)傘下の11団体が、約2億7000万円の国庫補助金について「不当」との指摘を受けた。国からの選手強化費をチョロまかしていたようで、今後も不正の温床になるともいわれている。

 消費税、軽自動車、第3のビールと庶民は増税される一方で、役所は無駄遣いばかり。到底許されるものじゃないだろう。経済ジャーナリストの荻原博子氏がこう言う。

「安倍政権は『強きを助け、弱きをくじく』の典型例で、とても容認できるものではありません」

 安倍首相はまず、穴の開いたバケツをふさぐことに全力を注ぐべきだ。



社説 年金運用見直し/組織改革が先ではないか

 老後の暮らしを担保する年金財源である。運用の収益性を高める工夫は必要だとしても、政権の身勝手な思惑から、運用の在り方が変えられ、損失のリスクが生じるのではたまらない。「安全」を第一に、慎重な運用に徹すべきだ。

 厚生年金と国民年金の積立金を厚生労働省から託されている年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、新たな資金運用の目安を決めた。

 安全資産とされる国債を含む国内債券の運用比率を60%から35%に引き下げる一方、リスクが高い国内と外国の株式を共に12%から25%に倍増させる。

 見直すのは「デフレからの転換という大きな運用環境の変化の節目にある」からという。デフレから脱して金利が上がるため、低利回りの国債に依存するのは不利ということらしい。

 もうデフレからは脱却したのか。追加金融緩和を決めた日銀の黒田東彦総裁は「今がデフレ脱却の正念場」と強調した。解せないGPIFの認識だ。

 それもそのはずで、見直しには安倍政権の意向が強く働いている。年金積立金の総額は127兆円に上り運用比率を1%変えれば、1兆円超の金が動く。

 政権が発足してからの株高は内閣支持率が高水準を維持してきた要因の一つだ。年金資金が流れれば株式市場は活気づく。消費税増税後、景気の回復力が弱い中、株価を押し上げアベノミクスを再び軌道に乗せる。そんな思惑があったとみられる。

 だが、積立金は保険料収入のうち給付に充てられなかった分をプールし、運用して将来の給付に備える大切な資金である。長期にわたり安定運用すべき「国民の資産」だ。

 それを目先の株価対策に使うことなどあってはならない。公正な株価形成をもゆがめかねない。安倍政権には、そうくぎを刺しておかなければなるまい。

 株価は、国内・世界経済の動向次第で暴落があり得る。運用に失敗して巨額の損失が生ずれば、将来世代の年金給付水準が下がる恐れも否めない。

 株式投資額を、新たな目安に性急に近づける必要はない。デフレ脱却の成否も見通せないのだ。慎重に構えるべきだ。

 厚労省はGPIFの組織改革にも着手し、有識者の作業班で検討が進む。理事長に権限や責任が集中する現行体制を改め、専門知識が豊富な複数の理事による合議制にするのが柱だ。

 だが、驚かされるのはその中で「リスク管理の専門家が少なく、世界最大規模の資産にふさわしい運営体制になっていない」との指摘があったことだ。

 リスク管理に不安があるなら運用比率見直しの前に、組織改革をまず実行すべきではなかったのか。懸念は膨らむばかりだ。今回の見直しの経緯を考えれば政府、政治からの独立性を保つことも改革の重要な視点だ。

 政府は改革像を固めて、来年の通常国会での法改正を目指すという。国民の前で十分に議論すべきだ。その後で実際の運用を改めても遅くはあるまい。

2014年11月09日日曜日 河北新報



私は生涯派遣なのか 「期間制限撤廃」改正案に不安

(11/09 07:01、11/09 12:14 更新) 北海道新聞

 今国会の焦点となっている労働者派遣法改正案に、派遣で働く人たちから「正社員への道が閉ざされる」と不安の声が上がっている。派遣労働の期間制限を事実上撤廃し、同じ業務で継続して派遣を使えるようにする内容で、業務が派遣に固定化される恐れがあるからだ。政府は「正社員への転換を促すようにする」と説明するが、経済界の要望に沿った改正案には「企業の使い勝手がよくなるだけ」との批判も。専門家は「正社員から派遣への置き換えが進む恐れがある」と指摘する。

 「キャリアを重ねても、給料も待遇も同じまま」。20年以上派遣で情報入力の仕事をしている札幌市の女性(52)はため息をつく。現在の時給は900円ほどで、2008年のリーマン・ショック以降は交通費や燃料費も出なくなった。手取り月収は11万円前後だ。

 市内の会社で正社員として働いていたが、月60時間を超える残業で体調を崩し、派遣で働き始めた。だが、いつ契約が打ち切られるかわからない。「不安です。本当は正社員がいい。でも、派遣元は派遣先の言うなりで、待遇改善や正社員化を働きかけてくれたことはなかった」。

 厚生労働省の12年度の調査では、派遣労働者の6割が「正社員として働きたい」と回答。だが、同省の別の調査によると、派遣を受け入れている企業のうち、正社員への採用制度があるのは28%、過去1年間に実際に採用したのは5・8%にとどまる。

 北海道ウイメンズ・ユニオンの大野朋子委員長は「期間制限の撤廃は、現状でも狭い正社員への道をさらに狭める」と指摘。「撤廃がなぜ『正社員への転換を促す』ことになるのか」と憤る。<どうしん電子版に全文掲載>



朝日新聞デジタル

名古屋市長が勧告拒否、労組反発 職員給与引き上げ巡り

2014年11月9日12時19分

 河村たかし名古屋市長が、市職員の給与を引き上げる市人事委員会の勧告を拒んでいる。中小企業経営の経験もふまえ「庶民の苦しみを反映していない」と批判。15年ぶりの増額勧告を喜んでいた労働組合は「根拠は感覚だけ」と猛反発している。

 「市人事委がちょっといい材料を持って来た。労使で話し合って料理ができたのに、市長が別の料理に作り直せと言い出した」

 7日夜、市職員労働組合連合会(組合員約1万5千人)が初めて「抗議」と銘打った集会。河野義人・中央執行委員長は料理に例えて河村市長を批判し、勧告実施を求めた。市公会堂に約1千人(主催者発表)が集まり、立ち見も出た。

 市人事委は15年ぶりの給与引き上げを9月に勧告。市長が従えば職員の平均年間給与は約7万4千円増えるはずだった。「マイナス勧告は実施してきたのに。勝手な物差しだ」。組合幹部らは壇上で声を上げた。

 市は2002年度から、人事委の勧告とは別に、財政難などを理由に給与、手当の独自削減も続ける。行政職の平均年収(昨年度)は612万円で20政令指定市中16位。トップの北九州市より約50万円少ない。「これまで痛みは受けてきた」(河野委員長)

 地方公務員はスト権が認められないなど、憲法が保障する労働基本権を制限されている。代わりに各自治体の人事委が官民の給与格差を毎年チェックし、首長に是正を勧告する。河村市長の勧告拒否に、市労連は「それなら労働基本権を回復するべきだ」と訴え、市給与課も「憲法に触れる恐れがある」と懸念する。

 一方、市長は勧告の基礎となる「民間給与実態調査」に矛先を向ける。調査方法は国の人事院や、都道府県と政令指定市などの人事委で共通。規模が50人以上の民間事業所が対象で、名古屋市では今年266カ所を無作為で抽出した。

 市長は6日、市人事委に「相当成績のいい企業だけで民間準拠とは言えない」と伝えた。「わしは零細企業の息子に生まれ、そういう目線の市長を市民が選んだ」と持説を展開。市労連は「市長の感覚だけが根拠」と不満を募らせる。

 市当局と組合側は9月の勧告に沿って賃金交渉を重ねてきたが、市長の拒否で妥結目前に中断。市長は若年層の給与を上げ、40~50代を下げる独自案を示す。組合側と話し合う意向だが、河野委員長は「望んでいない」と取り合わない。

 他の自治体でも、ここ数年の引き下げや据え置きから一転、給与引き上げ勧告が相次ぐ。「世間は納得できないのでは」(橋下徹・大阪市長)との声も出る中、河村市長は「勧告に従わない首長がいたら共同戦線をとりたい」と話す。

■ルール変更なら工夫を

 名城大の昇秀樹教授(地方自治論)の話 地方公務員は労働基本権が制限され、代わりに人事委員会が第三者の立場から首長に勧告する形が戦後続いてきた。勧告は尊重されるべきだ。

 ただ、ルールを変える議論は十分あり得る。名古屋市人事委の民間給与調査は、国の人事院の手法にのっとり従業員50人以上の事業所が対象で、中小、零細企業は除かれる。だから調査結果は普通の国民よりやや高くなる。より小さな企業も対象にするには、国や市人事委に市長が働きかければいい。

 中小企業を経営してきた河村市長は、小さな企業の社員は給与が安く労働も過重との思いなのだろう。庶民感覚がわかるセンスは評価すべきだが、既存のシステムを直すわけだから、思いついたら明日からとはいかない。政策化していくことがプロの仕事だ。工夫が足りないのではないか。


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