一部の女性だけが輝くのではない法を/非正規労働が増える状況はまっぴらだ/金持ちから取る応分に応じた課税をしろ/違憲状態や違憲無効状況下で国会運営をする議員は許されるのか 

「活躍推進法案」廃案 市民団体「内容見直し好機」 真の「輝く女性」へ
社説 【雇用 14衆院選】 展望描ける働き方示せ
「反富裕」 金持ちから取り返せ!
一票の格差判決 「選挙無効の意見を最高裁の裁判官が書いたのは初めて」 原告が評価

民意どこへ:2014衆院選 「活躍推進法案」廃案 市民団体「内容見直し好機」 真の「輝く女性」へ

毎日新聞 2014年11月26日 東京夕刊

 地方創生と並び、安倍政権が看板に掲げていた女性活躍推進法案が衆院解散で廃案になったことに、法制定を求めていた人たちから失望の声が上がっている。ただ、法案にはもともと批判も多く、内容見直しの好機ととらえる人も多い。自民党は衆院選に向けた政権公約に改めて法制定を挙げており、「女性」を巡る各党の主張が注目される。【川名壮志、斎川瞳、神保圭作】

 妊娠や出産を理由に職場で差別される「マタニティー・ハラスメント」を受けた女性でつくる「マタハラNet」の小酒部(おさかべ)さやか代表は「廃案は残念。マタハラ被害者が安倍政権をどう評価するか、判断材料がなくなってしまった」と話す。

 法案は企業に対し、管理職に占める女性の割合などを把握したうえで、女性登用の数値目標を設定するよう義務付けていた。小酒部さんは「管理職が増えるのは望ましいが、仕事を続けたくても妊娠したら6割の女性が辞めるのが今の社会」と指摘。「女性が輝く社会を築くには、女性が仕事を続けられる基盤整備が絶対に必要。女性だけでなく企業にもプラスになるきめ細かい法整備をしてほしい」と今後に期待した。

 職場での男女格差、パートや派遣社員を取り巻く問題に取り組む市民団体「均等待遇アクション21」(東京都文京区)事務局の柚木康子さんは「他の法案は意地でも通したのに、女性活躍推進法案は投げ出した。『女性活躍』に取り組む首相の本気度はその程度だったとよく分かった」とあきれる。

 法案には「働く女性の6割を占める非正規雇用に関する施策が盛り込まれていない」「企業に目標達成義務も課されなかった」などと批判があった。それでも柚木さんは「法律が成立すれば女性の雇用環境改善が一歩前進したと思う」と話し、「せっかく動き出した流れを止めてほしくない。非正規雇用の女性が救われ、本当に輝ける法案へと改善してほしい」と願う。

 女性の労働相談に応じる「働く女性の全国センター」(台東区)の伊藤みどり副代表は「一部のエリート正社員女性と非正規雇用の貧困女性とを分断し、女性間格差を拡大させる非常に危険な法案だった」と指摘する。安倍政権が女性の活躍を強調したことで声を上げやすくなった面があるが「法案の中身は女性活躍とは似て非なるもの。『女性』と名の付く政策をただやればいいのではない」と手厳しい。

 今月22日に東京都内で開かれた勉強会「怒れる大女子会! もういい加減にして『オッサン政治』!」の会場でも「エリート階層にいる1%の女性が輝くだけの法律」などと声が上がった。企画した太田啓子弁護士(横浜弁護士会)は「本来は全ての女性が活躍できるよう促すべきだが、法案は一部の大企業に属する人しか見ていない。職がない女性や、非正規雇用の人が直面する貧困問題を解決する法案であるべきだ」と訴えた。



社説 【雇用 14衆院選】 展望描ける働き方示せ

2014年11月26日08時08分 高知新聞

 「政権発足以来、雇用は100万人以上増え、今や有効求人倍率は22年ぶりの高水準だ」。安倍首相は衆院解散表明の記者会見でこう述べた。

 確かに雇用に関係する統計は改善傾向にある。

 自民党が政権を取り戻した2012年12月とことし9月の就業者数を比べると、約100万人増えている。

 有効求人倍率も約0・8倍だったのが1倍を超えた。完全失業率は約4%から3%台に下がっている。

 ただ中身に目を向けると喜べる状況ではない。9月の求人倍率でいえば、パートで働く人が1倍を超えていたのに対し、正社員は0・6倍余りにとどまっている。これは求人が非正規中心であることを表している。

 実際の人数をみても、12年7~9月期と14年の同期を比較すると、非正規は123万人増えている。逆に正社員は22万人減っている。

 今、非正規の割合は全体の4割近くに上る。これほどまで増えたのは、企業が人件費の抑制志向を強めたこととともに、国が雇用ルールの規制緩和を進めてきたことが影響している。

 1999年に労働者派遣の対象業務が原則として自由化され、小泉政権下の2004年には製造業への派遣も認められるようになった。

 だが、08年のリーマン・ショック以降、職を失う非正規労働者が続出した。年末から翌年初めにかけて東京で開設された「年越し派遣村」を記憶している人も多いだろう。

 09年に誕生した民主党政権は、労働者の保護へ軸足を置く。雇用期間が決まっている労働者の雇用の安定を図ろうと、労働契約法を改正した。

 不安定な登録型や製造業などの派遣を原則禁じる労働者派遣法改正案も国会に提出したが、自民、公明両党の反対で原則禁止は削除された。働く人を守る政策は後退した。

 そして再び、規制緩和の動きが強まっている。

 格差是正が重要だ

 安倍政権は労働時間規制の適用を除外する「ホワイトカラー・エグゼンプション」を導入する方針だ。労働時間ではなく成果に応じて賃金を支払う制度で、長時間労働に歯止めがかからなくなる恐れが指摘されている。

 労働者派遣法の改正も今国会で目指した。改正案は企業が派遣労働者を受け入れる期間の制限をなくす内容だ。衆院解散で廃案となったが、「生涯派遣」を増やすなど不安定な雇用が広がる懸念は根強い。

 普及を進める勤務地などを限る限定正社員制度についても、非正規の受け皿になるとの意見がある一方、安易な解雇につながるとの声もある。

 政権側は多様な働き方を支援すると主張する。働き方の選択肢が増えることは重要だが、そこには安心して働ける仕組みが欠かせない。

 まず正社員と非正規の格差是正を急ぐ必要がある。不安定な立場と低い給料のために結婚や出産に踏み切れない人が少なくない。欧米で一般的な「同一労働・同一賃金」も視野に入れ、均等な待遇を目指すべきだ。

 職場ではさまざまな嫌がらせが増え、若者を過酷な労働などで使い捨てるブラック企業も横行している。規制を緩める前に解決しなければならない課題はたくさんある。

 将来の展望を描ける働き方をどう実現するのか。選挙戦を通じて各党ははっきりと示さなければならない。



マガジン9

2014年11月26日 12:11 BLOGOS

第317回 「反富裕」。金持ちから取り返せ! の巻

デモ出発前!

 「税金は金持ちから取れ!」「税金は大企業から取れ!」「税金はトヨタから取れ!」「税金はソフトバンクから取れ!」「貧乏人は取り返すぞ!」「金持ちから取り返すぞ!」

 11月23日、勤労感謝の日。夕暮れの新宿にそんな叫び声が響き渡った。

 この日開催されたのは「反富裕デモ」。「反貧困」ではなく、「反富裕」。スローガンは「金持ちから取り返せ!」だ。

 実はこの言葉を巡っては紆余曲折がある。

 それは今年4月のこと。フリーター労組主催の「自由と生存のメーデー」の準備をしていた頃のことだ。会議のために事務所に行くと、メーデーのために描いた横断幕には大きく「反富裕」と書かれていた。その下には、「AGAINST THE RICH」。何気なくその写真をTwitterにアップすると、まったく予想もしていなかった展開になった。非難が殺到したのだ。

 その多くが「そんなふうに金持ちに嫉妬している奴らがいるから経済成長しないのだ」「努力もせずに怠けて富裕層を恨むなんてお門違いだ」「反富裕とか言う前に、自らが少しでも金持ちになれるように努力しろ」というような内容。

 Twitterに溢れるヒステリックとも言える言葉を見た時、軽い目眩を覚えた。今年の4月と言えば、消費税が5%から8%に引き上げられた時期。そのことがリアルに生活に打撃を与え始めていた頃、しかし人々は「アベノミクス」をおそらくまだ信じていたのである。この20年で大嘘になった「頑張れば報われる」という言葉が、アベノミクスによって再びリアリティを取り戻すのでは、景気回復の「トリクルダウン」がきっとくるのでは、という儚い期待を持つ層にとって、「反富裕」という言葉は、それらに思い切り水を差すものだっただろうことは想像に難くない。だからこそ、「怒り」は「反富裕」と書かれた横断幕をアップした私に向けられた。

「金持ちから取り返せ」!

 あれから、7ヶ月。

 「反富裕デモ」を開催するにあたっての告知やデモ中のTweetで、またまた私は「反富裕」という言葉を多くTwitterにアップした。が、驚くことに、今回はその言葉に対する批判は私の見る限り、ほとんどなかった。逆に「反富裕」に賛同してくれる人がびっくりするほど多かったのだ。

 一体、なぜ?

 そう思い、今年の4月から11月にかけてあったことを振り返ってみた。増税による景気の低迷。実質賃金の低下。また、有効求人倍率は22年ぶりの高水準と言われたものの、内実は非正規ばかりという実態がバレバレにもなった。実際、安倍政権になってから、正社員は31万人減り、非正規社員は129万人増えている(労働力調査 2014年7?9月期平均)。そうしてトドメに来たのが11月17日に発表されたGDPのマイナス成長だ。これによって、アベノミクスの幻想は木っ端みじんに吹き飛んだ。安倍政権はこの事態を受けて解散を宣言。700億円かけて総選挙が行なわれることに多くの疑問の声が上がっている。

 そんな時に開催された「反富裕デモ」。「消費増税反対」と「派遣法改悪反対」を掲げ、「金持ちから取り返せ!」と叫ぶデモには、参加した私も驚くほどに、「そうだそうだ!」と激励の声が街頭から、そしてネット上から投げかけられた。

 化けの皮が、完全に剥がれたのだ。アベノミクスをすがるように信じてみたかった人たちの気持ちも痛いほどわかる。だけど、「社会保障にあてる」と言って5%から8%に引き上げられた増税分は、実際に社会保障費にあてられたのはわずか1割だけ。あとは法人税減税で相殺されただけだ。

 そうしてこの日のデモで、衝撃的な数字を知った。安倍政権になってから、5億円以上の純金融資産を持つ「超富裕層」の資産は、なんと29兆円も増えているというのだ(野村総研調査より)。
 また、11月23日の東京新聞では、13年時点、日本で100万ドル(現時点では1億1800万円)以上の資産を持つ富裕層は前年から42万人増え、その資産総額は127兆円も増えて総額652兆円に膨張したことが報じられた。
 私たちが「富裕」という時に思い浮かべるのは、年収700万のサラリーマンなどではない。少なくとも純金融資産1億円以上の富裕層だ。

 「我々は99%だ」というプラカードを掲げ、ウォール街の公園を格差に反対する人々が占拠したのは3年前の秋。あの運動が瞬時にして世界中に広がったのは、今、世界中で同じようなことが起きているからだ。
 世界の富の半分を、1%の超富裕層が持っているということを多くの人が知っている。アメリカでは、資産20億円以上の上位0.1%が国全体の富の20%を所有しているという。

 翻って日本では、2010年の時点で資産1億円以上を持つ1.8%の富裕層が全体の2割を超える資産を所有していると言われる。現在は上位の独占がより露骨になっているはずだ。

 そんなこの国で起きていることは何か。

 増税によって庶民の生活は圧迫され、実質賃金は上がらず、そんな人々に政府は「残業代ゼロ」まで強要しようとしている。そうして「生涯不安定雇用」を促進する派遣法改悪や国家戦略特区で「解雇し放題」を目指すという、他人の人生を「実験台」にして丸ごと台無しにするようなことを進めようとしている。
 そんな人々が「信を問う」という選挙が近づいている。面白い話だ。

 「反富裕」。7ヶ月前までは抵抗感を持たれたこの言葉が、今、人々に受け入れられるようになっている。
 もう騙されないぞ。そんな声が、今、私にはあちこちから聞こえている。



<一票の格差判決>「選挙無効の意見を最高裁の裁判官が書いたのは初めて」原告が評価

2014年11月26日(水)22時56分配信

弁護士ドットコム

「1票の格差」が最大4.77倍だった2013年7月の参院選。その合憲性が争われた裁判で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は11月26日、この選挙の定数配分が「違憲状態」だとしつつも、原告が求めた「選挙無効」は認めないという判決を下した。

この参院選については、弁護士でつくる2つのグループが全国各地の選挙管理委員会を相手取って、選挙の無効を請求する裁判を計16件起こしていた。

●6名の補足意見、4名の反対意見

原告の一人である升永英俊弁護士は判決後の記者会見で「人口比例選挙を否定する判決のことを、われわれは『ガリレオ判決』と呼んでいます」と語った。地動説を主張したガリレオ・ガリレイは、聖書に反するという理由で異端審問にかけられ、有罪判決を受けた。今回の最高裁判決は、それぐらいおかしいという意味だ。

ただ、原告たちは、判決を全く評価していないわけではない。

同じく原告の久保利英明弁護士は、今回の判決の一番大きな意義は「多くの補足意見、反対意見が出たことにある」と指摘した。

最高裁の大法廷判決は、15人の裁判官による合議制だ。今回の判決では、11人の裁判官が多数意見を書き、4人の裁判官が反対意見を書いた。また、多数意見のうち6人が補足意見を付けている。

久保利弁護士は「山本庸幸裁判官は、反対意見で選挙制度が『違憲』で『選挙は無効』だとしている。『違憲』で『選挙無効』の意見を最高裁の裁判官が書いたのは初めてだ」と指摘した。

さらに、補足意見の裁判官が「次の選挙でも、この意見のままとは限らない」と書いている点を挙げ、「(最高裁が)『選挙構造を変えない国会に愛想をつかした』という可能性が、大いにあると考えている」と、次なる展開に期待を述べた。

同じく原告の伊藤真弁護士は、12月に実施される衆議院総選挙に言及。「違憲状態だと最高裁が判断したままの状態で、次の衆議院議員選挙が行われようとしている」として、「この衆議院議員選挙にも厳しい司法判断が予想される」と述べた。

●最高裁裁判官の国民審査がある

升永弁護士は、衆院選と同日に実施される『国民審査』に、しっかりと参加するように呼びかけた。

国民審査は、国民が最高裁の裁判官を評価する仕組みで、有効投票の過半数が『×』だった裁判官は、強制的に辞めさせられる。今回の判決にかかわった最高裁裁判官のうち5人が、12月14日に実施される『国民審査』の対象だ。

升永弁護士は「(ガリレオが裁判を受けた)1633年のイタリアでは、裁判官の国民審査はなかった」が、現在の日本では国民が判決を評価するチャンスが与えられているとして、「国民審査で『×』をつけることで、『ガリレオ判決』を変えることができる」と指摘していた。


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