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違憲状態下での衆議院選挙は国民の信を問うているといえるのか 

13年参院選 「違憲状態」 原告側一部評価 岡山
【一票の格差訴訟】 最高裁判決 要旨
社説 1票の格差違憲状態 もう国会の自浄能力は限界だ
論説 参院選「違憲状態」 国会の怠慢、改めるべきだ
社説 参院1票の格差 政治の怠慢は許されぬ
1票の格差 是正求める声相次ぐ 「違憲状態」受け各党 群馬
地方の声 届くのか 1票の格差判決「厳しい内容」
社説 「1票の格差」判決 先送りはもう許されない
【主張】 「違憲状態」判決 各党は参院改革案を示せ
社説 参院選「違憲状態」 再びの警告受け止めよ
社説 一刻も早く1票の格差をただす道筋示せ

1票の格差:13年参院選「違憲状態」 原告側、一部評価 「無効と判断の裁判官も」 /岡山

毎日新聞 2014年11月27日 地方版

 「1票の格差」が最大4・77倍だった昨年7月の参院選で、弁護士グループが選挙無効を求めた26日の訴訟16件の上告審判決。高裁で「無効」判決だった岡山選挙区も含め、最高裁は「違憲状態」と判断した。原告側は請求が認められなかったことに「国会に譲歩し過ぎと感じる」としながらも、「無効とすべきだとした裁判官もいたことは画期的」と一部を評価した。

 昨年の参院選岡山選挙区では、石井正弘氏(自民)が初当選。議員1人当たりの有権者数が最少の鳥取選挙区との1票の格差は3・27倍で、広島高裁岡山支部は昨年11月、「違憲・無効」と判断した。

 岡山訴訟の原告側代理人の賀川進太郎弁護士は、最高裁判決を受け「無効を望んだが、広島高裁判決は間違っていないことも示されたと思う」と話し、来月14日投開票される衆院選でも、岡山1?5区を「無効」として提訴する考えを示した。また、岡山訴訟に関わった山中真人弁護士は「(最高裁が10年参院選を違憲状態と判断後も)選挙区定数は4増4減しかしておらず、状態は変わっていない」と指摘した。

 一方、県選挙管理委員会の岡本研吾委員長は「選挙無効は取り消されたが、当時、議員定数配分規定が憲法の投票価値の平等の要求に反する状態だったという指摘は真摯(しんし)に受け止める」とコメントした。

 石井氏は「無効の訴えを退けたことに安堵(あんど)したが、国会議員の一人として厳しく受け止め、選挙制度改革に努めたい」とのコメントを出した。【平川義之、瀬谷健介】



2014.11.27 06:40更新 産経ニュース

【一票の格差訴訟】 最高裁判決要旨

 【多数意見】

 平成24年10月の最高裁判決が示す通り(最大格差5・00倍だった)22年参院選当時、選挙区間の投票価値の不均衡は、違憲の問題が生じる程度の著しい不平等状態だった。その後の公選法改正による「4増4減」の措置は、一部の選挙区定数の増減にとどまった。25年選挙の格差は4・77倍で、5倍前後の水準が続いており、議員定数の配分規定は22年選挙と同様に違憲状態だった。

 国会は、最高裁が24年10月の判決で「違憲状態解消のため選挙制度の仕組み自体の見直しが必要」と判断した時点から、違憲状態を認識できた。

 だが、見直しには高度に政治的な判断が求められ、検討に相応の時間がかかる。24年判決から25年選挙までの期間は約9カ月にとどまり、改正の方向性に関する参院各会派の意見が集約されない状況にあるなど、改正案の立案や法改正の手続きを終えるのは困難だった。

 一方、4増4減に加え、28年選挙に向けた選挙制度の抜本的な見直しを定めた改正公選法が成立し、参院で改革が検討されるなど、是正への取り組みが進められた。国会の取り組みが裁量権の限界を超えていたとはいえず、憲法違反ではない。

 国民の意思を適正に反映する選挙制度が民主政治の基盤だ。単に一部の選挙区の定数増減だけではなく、都道府県単位で定数を設定する現行方式を改めるなど、できるだけ速やかに現行制度の仕組み自体を見直す立法的措置で違憲状態が解消される必要がある。

 【補足意見】

 政治的な困難を伴う作業とはいえ、国会で具体的な改正案の集約に向けた取り組みが着実に実行され、仕組み自体を見直す立法的措置が速やかに実現されることが強く望まれる。

 【反対意見】

 ▽大橋正春裁判官

 選挙制度の仕組み自体を見直す真摯(しんし)な取り組みが行われないまま期間が経過するのは国会の裁量権の限界を超え、違憲だ。ただ、一定の改正作業は進んでおり、国会の自主判断による是正が期待できないと断ずるのは早すぎる。選挙は無効としないのが相当だ。

 ▽鬼丸かおる裁判官

 国会は遅くとも19年選挙をめぐる21年9月の最高裁判決が仕組みの見直しの必要性を示した時点で、そのことを認識できた。25年選挙までの約3年9カ月で公選法改正は可能で、是正されなかったことは、国会の裁量権の限界を超える。一方、28年選挙に向けて是正策が取られる可能性があり、選挙が直ちに無効とはいえない。

 ▽木内道祥裁判官

 国会が違憲状態を認識できた時点がいつかを求めるまでもなく、25年選挙までに投票価値の格差が是正されなかったことは、国会の裁量権の限界を超え、違憲だ。ただ、選挙を無効とする選挙区を選ぶ規律は熟していない。一部の選挙区のみを無効とはせず、全選挙区の違法を宣言するのにとどめるのが相当だ。

 ▽山本庸幸裁判官

 投票価値の平等は他に優先する唯一、絶対的な基準として守られるべきで、格差が2割程度を超える選挙制度は法の下の平等に反し、違憲・無効だ。選挙区の基本単位を投票所などに細分化するか、全国を単一か大まかなブロックに分けて選挙区や定数を設定するかでなければ一票の価値の平等は実現できない。



社説 1票の格差違憲状態 もう国会の自浄能力は限界だ

2014年11月27日(木)愛媛新聞

 昨年夏の参院選「1票の格差」をめぐる全国訴訟について、最高裁大法廷が「違憲状態」だったとの判決を言い渡した。これまでの度重なる司法の警告を無視し続けた国会に対する最高裁の当然の判断であり、最後通告である。

 各地の高裁判決は「合憲」がゼロ、「違憲状態」が13、「違憲」が3。うち広島高裁岡山支部が選挙無効に踏み込んだ経緯をみれば、違憲の判断もありえた。実際、15人中4人が「違憲」、うち1人は「無効とすべきだ」との意見だった。1996年に最高裁が初めて違憲状態と判断して以来、20年近く放置してきた国会の怠慢を問いたい。

 立法府が、自らの正当性を司法に否定されるという異常事態である。衆院と併せ、違憲の状態が続く前代未聞の現状は、国民の政治離れをさらに加速しよう。国会はあらためて、司法の警鐘を真摯しんしに受け止めるとともに、抜本的な改革を急がねばならない。

 安倍晋三首相は0増5減といった小手先改革でお茶を濁したまま解散に踏み切った。衆院でも違憲状態が続いているのに、である。選挙制度改革を検討する有識者調査会を存続させたとはいえ、12月に行われる衆院選で1票の格差が問われるのは必至だ。

 特定秘密保護法の強行採決や集団的自衛権の行使容認の閣議決定、憲法改正―。安倍政権が次々と打ち出す国の形を変えかねない重要課題を、正当性のない国会が議論する資格はない。違憲状態の議会が法律を作るというあり得ない事態であり、もはや法治国家の名に値するまい。

 どうやら、国会は自らが置かれた危機に鈍感なようだ。議員歳費削減を5月にやめるなど、身を切る覚悟は感じられない。この際、厳格な第三者委員会の設置などで早急に改革せねば、いずれ各地で無効判決が続出しよう。現実には、現行の選挙制度から完全に脱却しなければ投票の平等性を保つことは不可能だ。

 ただ、それは国会議員の偏在を招くことになる。中山間地から国会議員が消える恐れもあろう。判決を契機に地方は、参政権の行使を国会議員に頼りすぎた歴史を見直さねばなるまい。政治以外にも、地方の声を国政に反映させるシステムづくりが必要だ。

 都市の有権者の中には、地方で育ち、地方で教育を受けた人たちも多い。そうした人材を生かすのも、政治の仕事である。政府の各種審議会や委員会に地方代表を迎えるなど、行政システムへ反映させるための配慮も求めたい。

 そもそも、ここまで国会のバランスが崩れたのは、富と権力が都会へ集中し過ぎた結果である。政治は、利益の再配分という役割こそ持たねばならない。判決を深読みすれば、そういうことだ。



論説 参院選「違憲状態」 国会の怠慢、改めるべきだ

(2014年11月27日午前7時24分)福井新聞

 「1票の格差」が最大4・77倍だった昨年7月の参院選の無効を求めた初の全国一斉訴訟の上告審判決で最高裁大法廷は「違憲状態」と断じた。選挙無効の請求は退けたが、投票価値の平等を重視する姿勢を一段と強めた。12月14日投開票の今衆院選についても選挙無効請求訴訟が全国一斉に起こされる予定。立法府は早急に選挙制度の抜本改革に取り組むべきだ。

 参院訴訟では5倍前後の格差を「合憲」とする司法判断が続き、1992年選挙の6・59倍を初めて「違憲状態」とした。これまで取り組んだ「8増8減」の定数再配分などをみれば、国会として「5倍程度」なら問題なしと楽観視してきたのだろう。

 しかし、最高裁は「1票の格差」是正を求める世論を背に厳しい姿勢を強め、5・00倍あった前回2010年選挙を「著しい不平等」と判断。2度目の「違憲状態」を宣告した。

 今回国会が取り組んだ「4増4減」も評価しているわけではない。「選挙までの間に改正できなかったことが国会の裁量逸脱とまではいえない」と一定の理解は示したが、次回選挙までの抜本改革を求め、都道府県単位で定数設定する現行制度見直しを強く迫った。

 ハードルが高くなる一方の司法判断は、小手先の定数振り替えが通用しないことを明確にしたといえる。裁判官15人中4人が「違憲」、うち1人は初めて「選挙無効とすべき」との意見を示した。大法廷は今回も「無効」とした場合の混乱を避ける「事情判決の法理」を準用したのだろう。識者が指摘するように、国会は「違憲状態」にとどめた「ぎりぎりの判断」を精いっぱいのメッセージとして正面から受け止める必要がある。

 参院では与野党実務者らの協議会を設置し、格差を1・83倍まで縮める22府県の合区案が座長提示された。しかし、肝心の自民党内で不満と対立が激化、座長の参院幹事長を更迭する醜態を演じている。各党は改革案を出してはいるが、合意のめどは立たず、政治家の覚悟が見えてこない。

 人口の少ない福井県は衆参とも是正の対象になっている。定数削減や隣県との合区案を「地域の声が国政に反映できない」と反発する声がある。ただ国会のあり方を根本的に改革する気概と政治理念がなければ「地域エゴ合戦」が続く。議員の質自体が問われていることを自覚するべきだ。

 衆院選挙では、大法廷が昨年11月判決で、前回12年12月の選挙を「違憲状態」とした。最大格差は2・43倍だった。前回選挙に間に合わなかった小選挙区定数の「0増5減」に基づいて実施される今選挙では2倍前後の見通しだ。全国一斉の選挙無効訴訟でどう判断されるか。そもそも、解散・総選挙をする必然性がどこにあるのか。有権者が「無効」判断を低投票率で下すケースも考えられる。



社説 参院1票の格差 政治の怠慢は許されぬ

(11/27) 北海道新聞

 最高裁はきのう「1票の格差」が最大4・77倍だった昨年7月の参院選は「違憲状態」だったとの判断を示した。

 住む地域によって生じた1票の価値の格差は著しく不平等だが、選挙までに是正できなかったからといって、「違憲」とも言い切れない。それが最高裁の考えだ。

 注目すべきは都道府県単位の選挙区割りを改める抜本改革を求めたことだ。2010年の参院選についても指摘されていた。改革の結論を先送りする怠慢な政治への厳しい批判といえる。

 15人の裁判官のうち4人は「違憲」とし、うち1人は「選挙無効」の意見を示した。高裁段階でも同様の厳しい判断があった。

 もう現状を放置することは許されない。参院は格差是正に向けて一刻も早く選挙制度改革を成し遂げなければならない。

 昨年の参院選は選挙区定数の4増4減を実施し、10年の5・00倍より格差は縮小した。

 しかし最高裁は、制度の仕組み自体の見直しがなされず、なお5倍前後の格差が続いていたことを挙げて、違憲状態を解消するには足りなかったと判断した。

 たしかにこれまでの参院の取り組みはお粗末というほかない。

 与野党の協議会では自民党の脇雅史座長が府や県を合わせて一つの選挙区にする改革案を示した。

 それをつぶしたのは同じ自民党である。都道府県単位の区割り存続にこだわった。脇氏が辞任した後に自民党が示した案は、具体性に乏しい案の列挙だった。

 政権与党としてあまりに無責任ではないか。党総裁としての安倍晋三首相の責任も問われる。

 民主党は脇氏と同様の合区案を掲げる。公明、維新、社民の各党は全国を11ブロックに分ける大選挙区制、共産党は比例中心の制度を求め、調整がつかない。

 最高裁の判断を厳粛に受け止めなければならない。改革が遅れるほど、国権の最高機関としての権威が損なわれる。

 最高裁判断はこれまで選挙から2年以上かかっていたが、今回は1年4カ月だった。次の選挙までに改革を促しているのだろう。

 政治の怠慢は衆院にも言えることだ。小選挙区を「0増5減」した後も、1票の格差は2倍を超えていると指摘される。にもかかわらず首相は衆院を解散し、総選挙が行われようとしている。

 党派の利害を超えて選挙制度改革を達成し、政治の信頼を早く回復しなければならない。



2014衆院選:1票の格差、是正求める声相次ぐ 参院選「違憲状態」受け各党 /群馬

毎日新聞 2014年11月27日 地方版

 「1票の格差」が最大4・77倍だった昨夏の参院選について、最高裁が26日、「違憲状態」と判断した。衆院も定数配分の抜本的改革が進まないまま、12月2日に衆院選の公示を迎える。司法が憲法違反とみなす可能性もある選挙を前に、県内の各党からは格差是正や選挙制度改革を求める声が相次いだ。【角田直哉、吉田勝、田ノ上達也】

 総務省によると、有権者が最も少ないのは宮城5区の23万3362人(昨年9月2日現在)。これと比較すると、県内小選挙区の有権者数は、1区=1・65倍▽2区=1・42倍▽3区=1・28倍▽4区=1・25倍▽5区=1・34倍。県内小選挙区同士では1区と4区で1・32倍の格差があった。

 2年前の衆院解散前、当時の野田佳彦首相(民主)と安倍晋三・自民党総裁は、消費税率をアップする代わりに、衆院の議員定数削減を「痛みを伴う改革」として約束した。しかし、実現したのは「0増5減」のみ。定数480を475に変更しただけで次の選挙戦に突入することになった。

 こうした現状に対し、自民党県連の織田沢俊幸幹事長は「定数削減は公約の一つなのでしっかり取り組んでもらいたい」と述べるにとどめた。

 一方、民主党県連の黒沢孝行会長は「定数削減は重い課題なのに、安倍首相は2年間何もしてこなかった。第三者機関に検討を委ね、それに従って削減するしかないのでは」との考えを示した。

 「議員定数3割削減」を主張する維新の党の石関貴史前衆院議員は「選挙制度については変えるしかなく、定数を削減すべきだ」と話した。

 公明党県本部の福重隆浩代表は、最高裁判決について「国会による今後の具体的な改正案の検討と集約に強く期待する判決だ」とコメントした。

 共産党は小選挙区制そのものに反対する。県委員会の小菅啓司委員長は「現行制度は大政党に有利な仕組み。民意を正しく政治に反映させるためには、表面的な対策ではなく、比例代表中心の制度に変えていく必要がある」との認識を示した。

 社民党県連合の小林人志代表は「1票の格差は議会制民主主義の根幹にかかわる問題。衆院選が終わったら真っ先に取り組むべきだ。国民に見える形で議論を進めていかなければならない」と話した。



2014年11月27日 日本海新聞

地方の声、届くのか 1票の格差判決「厳しい内容」

 参院「1票の格差」が最大4・77倍だった昨年7月の参院選に関し、最高裁大法廷の上告審判決で「違憲状態」との判断が示された26日、鳥取県内の関係者からは「厳しい内容」との声が上がった。判決理由では都道府県単位の選挙制度の見直しにも言及。「選挙区の『合区』が現実味を帯びるのではないか」との懸念も出た。

 昨年7月の参院選で鳥取選挙区は、議員1人当たりの有権者数が全国で最少だった。格差是正をめぐっては、参院内の選挙制度協議会で見直し議論が行われており「鳥取・島根」の合区案も浮上している。

 「なじみのない県と一緒になるのは違和感がある。戦後定着してきた制度を覆すのはいかがか」。自民党県連の稲田寿久幹事長は、都道府県単位の選挙区見直しにも言及した判決に疑問を呈した。民主党県連の興治英夫幹事長も「都道府県以上に意味のある単位を見いだすことはできない」と断言。格差是正の追求で衆参の同質化が進めば「地方の声が届かなくなる」と懸念した。

 これに対し、ブロック制の導入を主張する公明党県本部の銀杏泰利代表は「当然、違憲状態は解消すべき」と冷静な反応。共産党県委員会の小村勝洋委員長も「比例を中心とした制度で抜本的な解決を図るしかない」と話した。

 鳥取大地域学部の塩沢健一准教授(地域政治学)は「明確に『違憲』と踏み込まないながらも厳しい判決」と受け止める。都道府県単位の選挙区は「一定の合理性がある」との立場で、「格差是正だけがすべての判断基準になるのか議論の余地がある。衆参の役割分担も含め考えるべき」と指摘した。

 最高裁の判決文を読んだ鳥取県の平井伸治知事は「立法裁量権を幅広く認めている。鳥取県という選挙区の枠組みを真っ向から否定しているわけではない」との見方。「投票価値が全てではない。都道府県が戦後果たした役割を認識し、十分な議論を」と国会に求めた。

 昨年7月の参院選で鳥取選挙区から初当選した舞立昇治議員は「鳥取県など人口の少ない地域の声がしっかり国政に届く選挙制度改革に取り組む」と述べた。



社説 「1票の格差」判決 先送りはもう許されない

 小手先の定数是正で済ませ、不平等な状態を放置し続けてきた立法府に対する司法からの度重なる重大な警告にほかならない。

 「1票の格差」が最大4・77倍だった昨年7月参院選は違憲として、弁護士グループが全国各地で選挙無効を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷は「違憲状態」との判断を示した。

 選挙無効の訴えは退けたものの、最高裁が参院選について「違憲状態」と断じたのは10年7月の参院選に続き2回連続である。

 また、裁判官15人中4人は「違憲」と判断し、うち1人は「選挙無効とすべきだ」とまで指摘した。国会の怠慢を厳しく批判する反対意見である。国会は早急に格差是正の抜本改革を急ぐべきだ。

 今回の判決で最高裁は「一部の選挙区の定数増減だけではなく、都道府県単位の定数設定を見直すなど具体的な立法措置が必要だ」と、12年10月の判決と同じく国会に抜本的な改革を求めている。

 国会は12年の大法廷判決後、公選法を改正し「4増4減」を実施した上で、16年選挙までに抜本改革の結論を出すと付則に明記した。与野党でつくる参院選挙制度協議会が改革案を検討しているが、各党の意見の隔たりは大きく、複数の都道府県を一つの選挙区とする合区のめどは立っていない。

 立法府としてあまりにも無責任であり、危機感の欠如と批判されても仕方あるまい。

 衆院でも1票の格差は深刻な問題だ。12年12月の衆院選について最高裁大法廷は昨年11月、「違憲状態」とする判決を言い渡した。国会は12年衆院選直前に小選挙区を「0増5減」する関連法を成立させ、来月14日投開票の衆院選から実施する。だが、1票の格差はその後も拡大しており、参院同様
に抜本改革が急務となっている。

 国民の意思を平等に正しく反映する選挙制度は民主政治の基盤である。その格差を放置し続ければ、国民の信頼を失いかねない。

 「国会の裁量権」を振りかざして、抜本改革を先送りすることはもう許されない。

=2014/11/27付 西日本新聞朝刊=



2014.11.27 05:05更新 産経ニュース

【主張】「違憲状態」判決 各党は参院改革案を示せ

 昨年7月に行われた参院選の「一票の格差」をめぐる全国訴訟の上告審で、最高裁大法廷が「違憲状態」と判断した。

 「4増4減」の定数再配分が事前に行われても最大格差が4・77倍だった選挙について、「違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等」を認める一方、国会の裁量権の限界を超えてはいないとした。

 15裁判官のうち4人は「違憲」と判断し、うち1人は「選挙無効」の厳しい意見を述べた。違憲判決に至らなかったことで、国会が司法の警告を軽視し、格差是正や選挙制度改革への取り組みを後退させることは許されない。

 各党は衆院の定数削減や選挙制度改革の問題と併せ、二院制をどう位置付けるかの基本的な考えを国民の前に明らかにし、選挙戦を通じて論じあう必要がある。

 最高裁は最大格差が5・00倍だった平成22年参院選についても、一昨年に「違憲状態」と判断している。今回の判決では、昨年の選挙も「なお5倍前後の水準」とみて著しい不平等と断じた。

 改めて重く受け止めるべきなのは、4増4減の改正法の付則で「28年選挙に向け選挙制度の抜本的見直しについて引き続き検討する」と規定されていることだ。判決もこれを指摘し、重ねて、都道府県単位で定数を定める仕組みの見直しを求めた。

 参院では、人口の少ない県同士の「合区」案の協議が合意に至らず、参院選挙制度協議会は近く議論を打ち切る。28年の新制度実施はとても見通せない状況だ。

 4増4減のような小手先の再配分を繰り返し、抜本改革は先送りする国会の対応について、「真摯(しんし)な努力について疑問を持たざるを得ない」とされた意見は、当然の評価だろう。

 与党として議論を主導すべき参院自民党は司法判断を受けて改革に乗り出すこと自体に抵抗感があるようだが、二院制の下での参院のあり方についても、積極的な検討はなされていない。

 判決は、衆参がいずれも政党に重きを置いた選挙制度で、選挙区と比例代表の組み合わせが類似している問題点も挙げた。本紙の「国民の憲法」要綱は、間接選挙の導入などを通じて参院の役割を見直すことを提起している。

 両院の制度改革に向けて政府の選挙制度審議会を再開させるなど新たな取り組みが必要だ。



社説:参院選「違憲状態」 再びの警告受け止めよ

毎日新聞 2014年11月27日 02時35分

 参院選の「1票の格差」をめぐり、再び厳しい判断が示された。

 最大格差が4.77倍だった昨年7月の参院選について弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟で、最高裁大法廷が、投票価値の著しい不平等を認定し、違憲状態と指摘した。

 2010年7月に実施された前々回の参院選に続く判断である。2回連続で参院選が違憲状態と指摘されたのは初めてのことだ。

 参院の選挙制度改革はまったく前に進んでいないが、国会は今度こそ司法からの警告を受け止め、格差是正に本気で取り組むべきだ。

 昨夏の参院選は選挙区を「4増4減」したが、10年当時の5.00倍からわずかな格差縮小にとどまった。

 参院の選挙区は都道府県単位で、3年ごとに半数が改選される。人口が少ない県にも最低2議席が配分され、格差が大きくなりやすい。衆院と異なり、地域代表的な性格も考慮され、最大格差が5倍を超えても合憲と判断されてきた経緯がある。

 だが、民意を的確に反映させる選挙制度は民主主義社会の基本であり、参院でも憲法上、投票価値の平等が要請されるのは言うまでもない。選挙区間の定数振り替えだけで格差是正は難しいとして、最高裁は07年参院選の判決以後、選挙制度の抜本改革を国会に求めてきた。

 一方で最高裁は、選挙制度の決定は国会の裁量だとし、「投票価値の平等は唯一、絶対の基準ではない」として、是正を国会の取り組みに任せてきた。今回の判決でも、参院で与野党が行っている選挙制度協議会の検討状況を前向きに評価した。

 だが、協議会では各党の意見の隔たりが大きく、自民党は人事抗争まで絡んで党内の意見集約さえできていない。複数の都道府県を一つの選挙区とする「合区(ごうく)」案が有力だが、関係する選挙区の現職議員を中心に強い抵抗があるのが現実だ。

 結局、協議会で改革案を一つに絞れず、参院各会派代表による検討会に今後の対応を委ねてしまった。何も決められない参院の現状に対する最高裁の認識は甘いのではないか。

 最高裁には違憲立法審査権が与えられている。国民の立場で立法府のチェック役を果たすべきだ。

 参院の選挙制度改革では、衆院との役割分担の議論が欠かせない。参院の存在意義をどう定義するのか。「分権の府」と位置づけ、地方代表の性格を強めることも選択肢だと私たちは主張してきた。そこを徹底的に議論しなければ、あるべき選挙制度も見えてこないだろう。

 来月14日に投開票される衆院選に対しても2回続けて違憲状態判決が出ている。国会のこれ以上の司法軽視は許されない。



社説 一刻も早く1票の格差をただす道筋示せ

2014/11/27付 日本経済新聞

 1票の格差が最大4.77倍だった2013年7月の参院選について、最高裁が「違憲状態」とする判決を言い渡した。10年の参院選に対しても同じ判断が示されており、3年ごとに半数が改選される参院は、まるごと違憲の状態ということになる。

 衆院も同様に、09年、12年の選挙を違憲状態と判断されたまま、抜本的な改正をせずに解散した。両院ともに、議員としての資格が問われかねない状態が慢性化している。国会は本気で定数の配分を正すつもりがないのではないか。そう疑われても仕方がない。

 格差是正に向けた参院の取り組みは、意見の対立から与野党協議会の座長が更迭されるなど迷走している。16年の次の参院選までに形をつければいいと考えているとすれば、有権者の失望を買うだけだ。議論を進め、一刻も早く改革への道筋を示すべきである。

 「違憲状態」とは、まさに投票の価値が平等の原則に著しく反しているということである。ただ、その是正のために必要な時間を考慮して、これまでの判決で「状態」を付けてきたにすぎない。

 10年の参院選を違憲状態とした12年10月の判決で、最高裁は「都道府県を単位とする区割りの見直し」を求めた。13年の参院選はこうした改正を行わないまま実施されたが、この判決から9カ月しかたっていなかったため、今回も違憲状態との判断にとどまった。

 だが区割りの抜本的な見直しの必要性は以前から指摘されており、改正のための時間は十分あったともいえる。

 実際、大法廷の15人の裁判官のうち、4人が「違憲」とする反対意見を述べている。うち1人は「選挙は無効」と踏み込んだ。最高裁として引き続き国会の取り組みを見守る、ギリギリの許容範囲内だったということだ。

 国会の不作為が批判されるのは当然である。しかし司法の側にも、問題がありはしないだろうか。最高裁はこれまで、国会議員の定数のあり方について、明確な基準や姿勢を示してきたとは言いがたい。それが結果として、現行の選挙区の定数を増減させる数合わせ的な改正を許してきたことにつながってもいる。

 最高裁は一体、イエローカードを何枚持っているのか。そんな疑問を抱かれないよう、毅然としてわかりやすく、国民のふに落ちるような判決を求めたい。


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