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一部の者にしか恩恵のないものを経済政策だとは笑止千万 

安倍政治を問う 見せ掛けの経済政策

安倍政治を問う〈8〉:見せ掛けの経済政策 経済評論家・内橋克人さん

2014.12.08 12:00:00

 「この道しかない」。この国のトップは今、全国各地で声を張り上げる。長く続くデフレから脱却するためには、自らの名前を冠した経済政策しかないのだと。だが鎌倉に住む経済評論家から言わせれば、「国民をなめている」。なぜなら「安倍政権の経済政策は『国策フィクション』」だからだ。

 内橋克人さん(82)はおもむろにペンを持ち、紙に数字を書いていく。「74兆円 70兆円」

 アベノミクスの第1の矢と言われる金融政策。日銀は2013年4月、「異次元」と評される大規模な金融緩和に踏み切った。市場は歓迎し、先行きへの期待感から急速に円安株高が進んだ。「国民は、金融緩和で市場に金がジャブジャブ流れたと思っている」。市場に金が出回れば、株価が上がり、資産価値も上がる…と。だが、それは「『これからもっと良くなる』と国民が“期待”を持たされているだけだ」。

■天空回廊

 内橋さんは、こう説く。13年3月末からの1年間で、日銀が国債を買い上げて供給した通貨(マネタリーベース)は74兆円増えた。だが、民間の金融機関が日銀に設けている口座の当座預金(日銀当座預金)も70兆円増えた。つまり差額の4兆円は市場に流れたが、70兆円は個人や企業への貸し出しに回らず、口座に眠ったまま。ブタ積みという。「マネタリーベースの額をみれば、4兆円など微々たるものだ」

 それでも、まだいい。少額とはいえ、市場に金が流れたのだから。内橋さんはその下に、もう一つ数字を書き加える。「118兆円 120兆円」。今年10月末までの1年半をみると、マネタリーベースは118兆円増加。だが日銀当座預金は120兆円も増えた。「金融緩和と叫びながら、実体経済に金は流れず、逆に市中から2兆円の金を吸い上げた計算。これでどうして景気が良くなるのですか?」

 国民は幻想を見させられている。「首相の周囲にいる経済ブレーンは、『市中に金がジャブジャブ流れているというイメージを市場に送り、国民の夢をあおれば経済は好転する』と思っている。人工インフレ論者、つまりリフレ派の仕掛けたトリックです」

 政府、日銀、金融機関で回る巨大マネー。国民の頭の上をめぐる「天空回廊」。富裕層が富めば、貧困層にも自然に富が滴り落ちるという、政府の説く「トリクルダウン」などはない。「雨は、横の樋(とい)にたまり、縦の樋に移って、大地に滴り落ちるもの。だが安倍政権はその縦の樋を途中で切断し、そこに栓を詰めた」。あふれるほどの水がたまるのは上部(大企業)だけ。そこでも内部留保という名の氷づけが起きている。「アベノミクスには、政権がなすべき最大のミッションの『所得再分配』政策が完全に欠落している」

■思い込み

 実体経済に資金が回らない、フィクションの“効果”は当然、長くは続かない。消費増税後、国内総生産(GDP)速報値は2期連続でマイナス。黒田東彦総裁は追加の金融緩和を発表し、安倍晋三首相は消費税率10%への引き上げの先送りを決めざるを得なかった。それでもなお、自らの経済政策に自信を持つ首相。「気付いていないのでしょうね。『アベノミクスは大成功』と本気で信じ込んでいる。周囲を取り巻く思想的同調者の考えを“民意”と錯覚している。首相の思い込みと、真の民意との乖離(かいり)はますます大きくなっていく」

 “思い込み”の激しさは言動にも表れているとみる。「世界経済回復のためには、3語で十分です」。昨年9月、ニューヨーク証券取引所でスピーチした首相は、自信たっぷりにこう続けた。「Buy my Abenomics」(アベノミクスは買いだ)。内橋さんは指摘する。「米国のレーガン政権の経済政策『レーガノミクス』も、英国のサッチャー政権の経済政策『サッチャリズム』も、メディアや後世の人々が名付けたもの。2人とも自らそう叫び回ったわけではない。自己顕示欲の違いでしょうか」

■符合

 有権者が気付くべきことは他にもある。厚生労働省は10月31日、年金積立金の投資配分を定める資産構成割合(基本ポートフォリオ)の見直しを認可した。その内容は国債など国内債券を大幅に縮小させ、よりリスクの高い株式の割合を国内外合わせて50%まで引き上げるものだ。同じ日、日銀は追加の金融緩和を決定。国債の購入額を年間50兆円から80兆円に拡大すると発表した。

 厚労省管轄の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が売却したい国債は30兆円分。日銀が増額したのも30兆円。「この二つは、ぴったり符合している」。株式市場を活性化させるため、国民の年金を活用しようとしているのではないか。内橋さんは憤る。「再びリーマン・ショックが起これば、国民が年金を手にすることはできなくなる」

 声を上げても詮ないことです-。東日本大震災の被災地で講演した際、被災者がこぼした一言が今も胸を締め付ける。だが、それでも声を上げ続けなければ、と感じている。「政権がいま何をしているのか。トリックやレトリックに惑わされず、有権者は徹底的に見抜かなければいけない」

 うちはし・かつと 1932年7月生まれ。神戸市出身。神戸新聞記者を経て経済評論家。著作に「匠(たくみ)の時代」「原発への警鐘」「共生の大地」など。「鎌倉九条の会」「さようなら原発1000万人アクション」の呼び掛け人を務める。

【神奈川新聞】


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