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都合の良い物忘れ、福島第1原発事故は収束したわけではない 

社説 衆院選 脱原発と再稼働 福島の教訓忘れた政策問え

<社説>衆院選 脱原発と再稼働 福島の教訓忘れた政策問え

2014年12月9日 琉球新報

 原子力発電に頼らないエネルギー政策を国民の多くが望んでいる。各種世論調査で共通した傾向だ。にもかかわらず、安倍政権の2年間で止まっていた原発が再稼働し、「原発回帰」が強まっている。

 東日本大震災による福島第1原発事故により、大量の放射性物質が放出された。多くの福島県民が今も避難を強いられ、美しい風土が汚染された。原発事故に人生を左右された人の無念に思いをはせねばならない。

 今衆議院選挙で、原発再稼働と脱原発の是非が厳しく問われねばならない。各党は原発が存続していいのかをはっきり示すべきだ。徹底した論戦を求めたい。

 福島第1原発事故は、巨大地震や津波への脆弱(ぜいじゃく)性、放射性物質の拡散を制御できない原発の危険性を突き付けた。日本のエネルギー政策の一大転換点となり、エネルギー政策の根本に「脱原発」が据えられたはずであった。

 当時の民主党政権、そして、2012年12月に政権を奪取した安倍晋三首相も当初は原発を全て停止してでも、事故の危険性を減らす政策を優先してきた。

 しかし、2年足らずで、安倍首相は原発の再稼働推進、原発回帰に前のめりになっている。ことし4月に打ち出された「エネルギー基本計画」は、原発を「重要なベースロード電源」と位置付けた上で、電源の構成比は先送りした。

 2年前の衆院選で、自民党は「原子力に依存しない経済・社会構造の確立を目指す」と「脱原発」を力説していた。13年7月の参院選から「脱原発」の姿勢を薄め、「エネルギー政策をゼロベースで見直す」と方針を変えた。

 今衆院選では原発依存度を「可能な限り低減させる」とし、原発存続を前提としている。これまでの公約に明白に反するものだ。

 対する野党側も、民主党は「責任ある避難計画がなければ、再稼働すべきでない」とするが、「脱原発」を薄めた。与党の公明、野党の維新も再稼働を容認する。

 明確な反対は共産、社民、生活、新党改革の4党だけである。安倍首相は「再稼働も争点」と言うが、将来の原発比率、再稼働させる原発数の目標値を示さないため、論戦は深まらないままだ。

 防災対策が少しずつ厚みを増したとはいえ、原発の危険性は変わっていない。福島の過酷事故の教訓をないがしろにしてはならない。


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