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戦後最低の投票率が語る最大の危機、日本を救えるのはそこに生きる国民しかいない 

憲法改正 国民ひとり1人が学習し 自ら判断する能力を備えよう
社会はどう壊れていて いかに取り戻すか

憲法改正、国民ひとり1人が学習し、自ら判断する能力を備えよう

2014年12月20日 14:21 財経新聞

記事提供元:エコノミックニュース

 自民党、公明党の連立政権続投が決まった。両党による連立政権合意は「景気回復・経済再生」のほかに(1)地方創生・女性の活躍(2)社会保障と税の一体改革(3)東日本大震災からの復興と防災・減災対策(4)エネルギー・原発政策(5)積極的平和外交(6)選挙制度改革と定数削減(7)憲法改正の7項目。

 選挙期間中に安倍総理が憲法改正に触れたかどうか、選挙中の街頭演説で、私は聞いていない。が、自主憲法制定は自民党立党以来の悲願で、憲法改正を発議できる議席数(衆参ともに3分の2)を狙った選挙だったとの見方さえある。

 兎も角、護憲派の野党大物候補を狙い撃ちしたことからも、戦略的に、憲法改正環境づくりを国会の内と外で狙ったとの見方も外れた見方とはいえないだろう。

 連立政権合意の「憲法改正」項目では「改正された『憲法改正国民投票法』の施行を受け、憲法審査会の審議を促進し、憲法改正に向けた国民的な議論を深める」としている。両党が憲法改正への世論形成に合意した。

 しかし、憲法について、自民党が『改憲』を目指しているのに対し、公明党は現行憲法に現況と将来を展望した『加憲』の姿勢で、現行憲法に対する捉え方や見直しの立ち位置が違う。

 今後、憲法9条(戦争の放棄)条項や国民の権利・義務関係など、それぞれの条項について議論が深まれば立ち位置の違いが鮮明になってくる。

 次世代の党から総選挙に出馬した田母神俊雄元航空幕僚長は「自公連立政権の中で、公明党は(憲法改正、国防軍構想、集団的自衛権の行使など、これら)安倍政権がやろうとしていることに基本的に反対だ。自公連立政権では日本を取り戻すことは無理と思っている。自公分離ができ、保守連合で初めて日本を取り戻すことができる」と主張した。

 田母神元幕僚長は「安倍・自民党内閣の『日本を取り戻す』考えに賛成している。そのために憲法を改正し、軍を取り戻すことが必要。集団的自衛権行使を容認することも必要だ」と主張した。

 自公の憲法に対する、9条に対する捉え方の違いを田母神元幕僚長が明確に語ったともいえる。公明党候補を当選させまいと太田昭宏国土交通大臣の選挙区で戦った経緯もある。田母神氏は今回の選挙に落選した。

 次世代、自民など保守勢力が憲法9条改正を目指す中で、その自民を支持したのは今回選挙(投票率過去最低52.66%)では1766万人。小選挙区では自民党は48%の得票率で76%の議席を獲得した。国民の声を国会議席に反映させる選挙制度改革が急がれている。

 安倍総理は、私たちは475議席の中で291議席を得る支持を得たと強調するのだろう。そして、憲法改正についても、今期に国会発議への環境づくりに専念することとなる。次期、参院選挙に照準を合わせ、自公で3分の2を目指すことになるのだろう。

 憲法9条を生かし、その下で国家の安全保障外交を展開する立ち位置にあるのは日本共産党、社民党や生活の党、民主党など。公明党は加憲の立場。維新の党は橋下徹共同代表が「9条の考えを堅持したうえで、平和は自ら汗を流し、努力して守っていかなければいけない。9条が今のままでいいとは思わない」と以前に語っているため改正の立ち位置に近いようだ。

 こうした流れの中で、隣国、韓国内で日本の憲法9条を来年度にノーベル平和賞にしようとめざす韓国の識者らが現れた。識者ら50人が「日本の憲法9条をノーベル平和賞に推薦する署名運動を始める」と18日にソウルで記者会見したという。

 毎日新聞によると「日本国内での平和憲法を守る動きと連携して、来年度のノーベル平和賞を目指す」としており「ノーベル平和賞が個人や団体を対象にしているため受賞の主体は改めて検討する」そうだが、平和憲法の下で暮らしている当事者の日本国民の一人として、今回の総選挙でも国民の間に『9条』が浮上しなかったこと自体、恥ずかしい思いがする。

 韓国の識者たちは「安倍内閣により解釈改憲で(憲法9条が)骨抜きにされる危機に直面している」と訴え「平和憲法が無力化されれば、朝鮮半島や東アジアの平和も脅かされる」と危機感を強くしている。

 日本の憲法を他国の国民が評価し、時の日本政府に守るよう間接的な運動展開をすること事態不思議な気もするが、日本国民にとっては自らの安全保障問題だけに、子子孫孫に影響する大きな転機になることも踏まえ、ひとり1人が学習し、自ら判断しうる能力を備えることが極めて重要な時期に入っている。そのことの認識をすべきなのだろう。

 憲法問題が北海道から沖縄まで日本中の全国民の暮らしの中で語られはじめ、それぞれがそれぞれの視点で語る、あるいは語れるレベルになることが重要だ。憲法を学び、賛否能力を備えるのは国民の義務との認識がひとり1人に求められている。(編集担当:森高龍二)



2014年12月20日 11:15 BLOGOS

社会はどう壊れていて、いかに取り戻すか

2014年12月14日に衆議院選挙がありました。

投票率は戦後最低の52.66%。

自民党の得票率は48%で、有権者のわすか25%の支持で議席の76%を独占しました。

総選挙中、「アベノミクス」という「ワンフレーズ」が繰り返されましたが、小泉政権の時のような「熱狂」もないまま、自公両党は憲法改悪が可能な326議席を獲得したのです。

しかも若者の投票率は30%前後にすぎません。

明らかに政治は若者に見捨てられています。

このことだけを見ても、この結果が「未来のない選択」であったことを示しています。

過去の歴史を振り返って考えると、「静かなファショ」の時代に入ったのかもしれません。

人々は、議会制民主主義にほとんど期待しなくなりました。

今後は、特定秘密保護法をバックにして、これまで以上に、直接間接にメディアへの言論抑制が行われるでしょう。

それでも、多くの人々は、この愚かな選択に自ら気づくことになると思います。

「アベノミクス」の下で、膨大なマネー供給によって物価上昇期待を上げれば、消費が増えるとしてきましたが、2013年半ばから一貫して実質賃金が下がり続け、家計消費が減少を続けているからです。皮肉なことに、消費が増えたのは消費税増税前の駆け込み需要だけです。インフレターゲット論の「理論」が正しくて現実が間違っていることはないのです。

たしかに異次元の金融緩和は株高をもたらしました。しかし、潤うのは一部大企業と富裕層だけです。

今後は、原発再稼働と再エネ妨害によって、エネルギーや産業構造の転換は遅れて、日本企業の国際競争力はますます落ち、「岩盤規制」を壊すという名の下に雇用や社会保障が破壊されて、猛烈な格差社会が訪れることが想定されます。

金融緩和と「構造改革」の組み合わせが最も格差を拡大させるのです。

必要なのは、大転換期にふさわしい産業構造の転換――集中メインフレーム型から地域分散ネットワーク型へ――を一気に促す産業政策(雇用創出)ですが、それもありません。

小泉「構造改革」の時と同じです。

このままでは痛みだけがやってきて、日本は「失われた30年」になります。

しかし、こうした動きを反転するには、私たちの思考そのものを革新していかないといけません。

2014年12月に上梓した『社会はどう壊れていて、いかに取り戻すのか』(同友館)は、そのささやかな試みです。政策的オルタナティブとして書いた『儲かる農業論 エネエルギー兼業農家』(集英社新書)と合わせて、ご一読いただければ幸いです。

『社会はどう壊れていて、いかに取り戻すのか』の前文(はしがき)を掲載します。

  *****************

「いま世界は混沌としている。

それをどう認識し、どう立ち向かったらよいのだろうか。

ひょっとすると、私たちは古い「常識」に縛られて、重大な見落としをしているかもしれない。あるいは根本的に誤った思考を繰り返しているかもしれない。そして「正しい」とされている考え方が、実は時代の閉塞をもたらしているのかもしれない。それは体制を擁護する側だけでなく、体制を批判するリベラル派や左派にも当てはまりうる。こうした状況は、時代の転換期にはよく起こることである。本書に「社会はどう壊れていて、いかに取り戻すのか」という書名をつけたのは、自省を込めてこういう反省から出発したいがゆえである。

  実際、1980年代以降、世界の資本主義は大きく変質した。先進諸国の景気循環をよく観察してみれば、経済学のテキストが想定していないバブルとバブルの崩壊を繰り返すものに変質している。そしてグローバリズムに基づく金融資本主義とでも呼ぶべき現象は、2008年9月15日のリーマン・ショックに行き着いた。バブルの崩壊は、巨額の不良債権を産み落とす。そして会計粉飾を横行させ、政府や中央銀行による救済を恒常化させる。その結果、いまや米日欧の中央銀行の政策金利はほぼゼロになり、「異次元」「異例」「非伝統的」といった形容のもとに、未曾有の量的金融緩和政策が実行されている。金利がゼロで、世界中マネーであふれている状況は、近代資本主義の歴史にはなかったことである。

それは市場が実は自律性を有しておらず、制度や信頼なしに成り立ちえないことを白日の下にさらす。制度や信頼が崩れ、メガバンクや経済界の中枢企業の経営責任を問えないままズルズルと救済を続けていくと、中長期的に産業構造の転換が妨げられていき、長期停滞から脱することはできなくなる。それは金融分野だけでなく、福島第1原発事故とエネルギー分野にも当てはまることである。

グローバリズムに基づく金融資本主義は、新自由主義や新保守主義を横行させるだけなく、政治の手法そのものを変えていく。その中で、格差と貧困は世界中で広がり、人々の生存権を脅かしている。家族や雇用のあり方が大きく変化してしまうと、格差や貧困も多様化し、それにいかに対処していくべきかという問題を引き起こす。他者への想像力が欠如すると、私たちの意識には知らぬうちに「上」から見下ろす思考が浸透していく。たとえば、生活保護をもらって酒を飲むとは何事だといった非難が典型的だが、格差が拡大すると、多くの人にとってストレスの高い社会になり、しかも社会の底辺に追いやられた人々ほどストレスからくる健康格差に苦しめられているのが現実である。 

パターナリスティックな福祉国家を否定し、社会的排除を防ぐために「自立支援」という考え方が登場した。しかし実は、「自立支援」は紙一重で「自己責任」論に変わりうる。新自由主義的思考が忍び込み、誰もが「自立した経営者」あるいは「自立すべき経営者」であるという暗黙の前提がいつの間にか入り込むと、「自立支援」はたちまち全く逆の強制や抑圧の装置になりうるからである。丁寧な思考が求められている。

一方、格差や貧困が拡大し社会の紐帯が壊れていけばいくほど、ナショナリズムが台頭する。世界は、いまやウクライナ、シリア、ガザ、イラクと、かつて超大国が支配していた東西が接する地域で戦争が引き起こされている。「戦争のある」時代に入っている。その中で、EU議会選挙では極右勢力が台頭し、米国でもキリスト教原理主義がなお根強くはびこっている。日本では、安倍政権が登場し、アベノミクスというスローガンで経済回復への期待を集めながら、集団的自衛権行使容認の閣議決定、武器輸出3原則の見直し、特定秘密保護法の実施とメディアへの公然・非公然の圧力などが起きている。「戦争のできる」国作りが進められ、国民的合意なき原発再稼働や原発輸出が行われようとしている。

民主党政権の失敗もあって議会制民主主義は機能麻痺に陥り始め、ナショナリズムはネット右翼というバーチャルな世界から出て「街場」の世界に現れ、ヘイトスピーチに見られる「行動右翼」が生まれている。だが、リベラル派も左派も四分五裂している。恐ろしいほどの古い思考が依然として行き交い、戦後続いてきたさまざまな運動の分裂と弱体化がなおも進んでいる。このような状況を克服するには、どのような思考が必要なのか、真剣に問い直さなければならない地点に立たされている。

この本は、これらの諸問題をどのように認識し、どのように立ち向かっていけばいいのかについて考察している。筆者たちは10年間にわたって研究会で議論を重ねてきたが、こうした思考は「狭い空間」を超えて、ひろく街場の議論の中で鍛えられなければならない。本書を上梓することが、民主主義社会実現のきっかけのひとつになれればいいと筆者一同は願っている。

金子勝

竹田茂夫

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