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重い増税とそれに見合わない低い社会保障で国民は凍えてしまう/富の再配分で社会はより豊かになる 

アベノミクス なぜ回復実感が乏しいか
社説 「悲しみ」分かち合う時 年のはじめに考える

アベノミクス なぜ回復実感が乏しいか

 ■戦後70年 新たな時代へ■ 
 安倍晋三首相が自らの経済政策「アベノミクス」の成果をいくら誇っても、世論調査ではなお景気回復の実感がないとの声が多い。

 むしろ、先行き不透明感が強まっているようにも見える。回復の実感はなぜ広がらないのか。きちんと分析し、適切な対応を講じないと、今年も多くの国民が実感を抱けないままになりかねない。

 ▼政権の掛け声と裏腹に

 回復の実感が広がらない原因の一つは経済格差である。大手企業と中小企業、都会と地方、正規と非正規の労働者の間と、さまざまなところで格差が拡大している。

 安倍首相も先刻承知だ。第3次安倍内閣の発足直後に打ち出した基本方針にも、それを意識した文章がある。「高齢者も若者も、難病や障害を抱える人も『誰にでもチャンスあふれる日本』を創り上げる」「景気回復の実感を必ずや全国津々浦々にまで届ける」と。

 決意は良い。問題は格差是正で政府にどんな手段や仕組みがあるかだ。具体的には税・社会保障制度を通じて所得の再分配を行い、格差の緩和を図ることになる。

 だが、日本の制度は、この再分配機能が弱く、ワーキングプア(働く貧困層)の増加や子どもの貧困率の上昇を止められずにいる。

 再分配機能の弱さは、政府の2009年度経済財政白書でも検証された。では、その後、貧困解消や格差緩和に向けた制度の抜本見直しが政府によって行われたか。

 昨年9月、日本学術会議が提言を発表した。同会議は日本の科学者約84万人を組織する代表的な機関である。その重みがある機関が出した提言とは、国際的に見ても貧弱な日本の貧困対策、社会政策の改善を強く求めるものだった。

 提言では、所得額による分類で所得が低い方から20%の層に対する負担と給付を国際比較した。

 デンマークやスウェーデンでは負担は重いが給付が断然厚い。米国、イタリア、韓国などは負担は薄く給付も薄い。一方、日本は給付は薄いが、負担は軽くない。低所得者が最も冷遇されている国といってよい-と提言は指摘した。

 1990年代から増え続けてきた非正規労働者の問題も大きい。

 独立行政法人労働政策研究・研修機構は昨年5月、35~44歳の壮年となった非正規労働者に関する調査研究報告をまとめた。

 壮年では正規労働者との所得格差が青年期よりも広がる。一方、正社員に登用される可能性は下がる。これに老親の介護などが重なれば状況は極めて厳しくなる。

 景気回復の実感を津々浦々に届けるためには低所得層の底上げと格差緩和の具体策が不可欠だ。

 難しいのは格差是正だけではない。アベノミクスの要である成長戦略もそうだ。首相が決意を語るほど進んでいるように見えない。

 目玉の一つに「女性が輝く社会」の実現がある。あらゆる分野で指導的な地位を占める女性の割合を大幅に増やす目標を掲げた。

 仕事と家庭の両立は簡単ではない。日本生産性本部が昨年末に公表した新入社員の秋の意識調査では「管理職になりたいか」との問いに男性の約65%が「なりたい」と答えた。一方、女性は政府の掛け声と裏腹に約27%にとどまる。

 ▼痛みを伴う改革難しく

 成長戦略は安倍首相の専売特許ではない。幾多の政権が掲げたが、目に見える成果があったとは言い難い。改革には抵抗がある。既得権の壁がある。それを打破して実を結ぶまでに時間がかかる。

 女性の進出を促し、仕事と家庭の両立ができる環境を整えるには社会の意識を変える必要もある。

 安倍政権の成長戦略の多くが実るまでに、どのくらいかかるのだろう。その間、大胆な金融緩和と積極的な財政出動が続くのか。

 首相は円安・株高を演出し、日本は変わったと印象付け、国民の期待感を高めた。だが、昨春の消費税増税以降は停滞感が強い。

 国民の期待をつなぎ留めるために、首相は一段と目先の景気を重視するようになったと思える。

 すると、痛みを伴い、一時的に景気を冷やす歳出削減や規制改革に二の足を踏む可能性もある。

 結果、財政再建は進まず、異次元の金融緩和もやめられない。財政破綻の最悪の筋書きも頭をよぎる。首相は悲観論を一掃する説得力のある将来像を提示すべきだ。

=2015/01/05付 西日本新聞朝刊=



2015年1月5日 中日新聞

社説 「悲しみ」分かち合う時 年のはじめに考える

 社会保障制度は人々の生活の安定を図り、安心をもたらすものです。社会の連帯に基づく「分かち合い」の制度について、あらためて考えてみます。

 少数の富裕層と多くの労働者の貧困、教育を受けられない子どもたち、まん延する病気。

 深刻な社会問題が発生した十九世紀のフランスで、法律家、政治家であり、後にノーベル平和賞を受賞するレオン・ブルジョワは「連帯」思想を提唱しました。厚生労働白書は次のように紹介しています。

義務としての連帯

 <社会を存立させていくためには不公平を是正したり、生活リスクの負担を分け合う。そのために議論と合意を通じ、義務としてのルールを設定。義務を果たすことで正義を実現することが必要だ>

 この思想はフランス国民の支持を得るのみならず、世界に広まり、本格的な社会保障確立のベースになっていきます。

 日本で一九二〇年代に制定された生活保護法の前身といえる「救護法」も、連帯思想の影響を受けています。

 戦後の先進諸国では「福祉国家」を目指して社会保障の充実が進みます。しかし、七〇年代のオイルショックで経済成長が鈍化する中、福祉国家は競争力低下をもたらすという新自由主義者の批判が米国や英国で高まります。

 それを受け、八〇年代に誕生するのが、英国のサッチャー政権の「サッチャリズム」であり、米国のレーガン政権の「レーガノミクス」です。彼らは富裕層を富ませれば、その滴が下層にもしたたり落ちるというトリクルダウン理論に基づく政策を進めます。その結果、失業者の増加、所得格差、貧困の拡大など多くの弊害をもたらしました。

 日本でも同年代、中曽根政権が誕生。社会保障費の抑制が進むことになります。

世界で広がる所得格差

 経済協力開発機構(OECD)が昨年末、まとめた分析はショッキングでした。加盟する三十四カ国の大半で、所得格差が過去三十年間で最大になっています。そして、格差の拡大は経済成長の妨げにもなっているというのです。その理由について、不利な状況に置かれている人々の教育の機会が損なわれることを挙げています。

 分析はこう続きます。格差を是正する政策が、税と給付による再分配であり、再分配は経済成長を押し下げるものではない-。

 社会保障は貧富の格差を縮小し、低所得者の生活の安定を図る所得再分配や、病気、失業、高齢などの事態に社会全体で備えるという機能を持っています。

 日本全体の個人金融資産は千六百兆円を超え、七割を六十歳以上が保有しています。老後の生活への不安が大きいせいでしょう。

 社会保障が充実し、人々の将来への不安が払拭(ふっしょく)されたら、いざというときの備えとして蓄えられている資産が消費に回る効果が期待できます。加えて、医療、介護、保育などの関連産業の雇用も創出され、経済成長にも好影響をもたらすでしょう。

 トリクルダウン理論を実践する安倍政権下で、富裕層と低所得層の二極化が進んでいます。社会保障の削減も進み、一定以上の所得がある利用者の負担を二割に引き上げるなどの介護保険サービスの負担増、給付減は四月から順次、実施されます。公的年金は段階的に減額され、生活保護費も引き下げられています。

 神野直彦東京大名誉教授は著書「『分かち合い』の経済学」で、スウェーデン語に社会サービスを意味する「オムソーリ」という言葉があるのを紹介しています。オムソーリの原義は「悲しみを分かち合う」ということで、次のように書いています。

 <人間は悲しみや優しさを「分かち合い」ながら生きてきた動物である。人間は孤独で生きることはできず、共同体を形成してこそ生存が可能となる。「分かち合い」によって、他者の生も可能となり、自己の生も可能となる>

 日本の社会保障には、高齢世代と現役世代の「世代間の不公平」も指摘されています。しかし、年金制度などには、高齢者の生活を社会的に保障することで、その子や孫である現役世代が本来、背負う負担を軽くしているというメリットがあることも忘れてはいけないのではないでしょうか。

東日本大震災での経験

 世代間の不公平論が広がる背景に、高齢者と若年者の対立をあおり、給付削減を進めようという財政当局の陰謀があるのではと勘繰ってしまいます。

 私たちには東日本大震災後に神野教授のいう「分かち合い」精神を発揮した経験があります。互いに悲しみを分かち合う制度を何とか支えていくべきだと思います。


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