休み下手な日本人は休暇政策も満足に立案できない/即戦力をほしがる企業と教育費をケチる企業、どちらも同じ穴のムジナ/新労働制度とは片腹痛し/大企業の陰湿体質と闘え 

有給休暇 企業が時期も指定? 有休の本来のあり方を考える
スカイマーク 転職なら「訓練費返還を」 操縦士を提訴
社説 新労働制度 なし崩し的導入は禍根残す
日立グループ 追い出し部屋撤去を 電機・情報ユニオン分会結成

有給休暇を企業が責任持って時期も指定? 有休の本来のあり方を考える

2015年01月12日 19:08 Economic News

1月26日召集予定の通常国会で労働基準法改正案の骨子が提出される予定だ。改正案の1つに、有給休暇の時期などを企業が責任もって指定し、取得を促進するという案がある。「これでやっと有休が取れる」という声もある一方、「好きな時に取れなくなるのでは」という不安もささやかれている。

 1月26日召集予定の通常国会で、労働基準法改正案の骨子が提出される予定となっている。大きな改正案の1つに、有給休暇の取得に関し、時期などを企業が責任もって指定し取得を促進するという案がある。「これでやっと有休が取れる」という声もある一方、「好きな時に取れなくなるのでは」という不安もささやかれている。

 米インターネットリサーチ会社の調査によると、世界25ヶ国を対象とした有給休暇取取得率で、日本は2013年まで7年連続の最下位だった。14年はワースト2位に浮上したが、最下位の韓国が取得率48%、日本は50%と僅差だ。「有給休暇を取る際、罪悪感を覚える」、「休暇中も仕事のことが頭から離れない」といった割合でも、日本は1位の座を守り続けている。

 なぜこんなにも日本は有給休暇取得率が低いのか。有休を取れない・取らない理由に挙げられるのは、「周りが取らないのに、自分だけ取ることはできない」、「人手不足で取れない」など、周りへの遠慮が多数を占めている。「うちの会社では誰も有休なんて取ってないよ、と先輩に言われ申請をあきらめた」、「申請しても上司に理由を聞かれたり嫌味を言われたりする」など、会社や上司の雰囲気がそれを許さないといったケースも少なくないようだ。会社の空気、さらに言えば日本社会全体の空気として、「有休を取る=周りに迷惑をかける」と見なす・感じる悪習がいまだ根付いている感は拭えない。

 しかし、企業側も有給休暇取得に向けて取り組み始めている所も多い。東洋経済が発表した「有休をしっかり取れる企業」というデータをみてみよう。これは、『就職四季報2016年版』掲載の1247社のうち、有給消化日数について条件付回答を除いた921社のデータをもとに算出されたものだ。これによると1位は東武鉄道の年間23.1日で、同社は1時間単位の有給休暇制度など細かな有給休暇消化への取組みを行っている。2位は東燃ゼネラル石油、3位は東芝。事業自体に安定感の強い鉄道関連、石油関連、電気・自動車メーカーなどが上位に並んでいる。

 全体の平均消化日数は年間10.3日となっており、外食・中食業界は平均5.8日と大きく下回った。小売業も上位200社にはほとんどランクインしていない。事業の安定した大企業は有休取得取組みも行えているが、中小企業や外食・小売といった慢性的な人手不足に悩まされる業種では、まだまだそうした取組みは難しいことがうかがえる。

 政府の改正案は、有給休暇の取得に向けた企業努力を後押しするものだが、本来有給休暇は自由に取っていいもののはずだ。こうしたことを法律で決めなくては、実行に移せない社会の病理は根深い。例えば、アルバイトでも半年以上勤めれば有給休暇が発生するが、それを知らずに働いている人や伝えない雇用主も多い。そうした基本的な知識をもっと共有し、「有休は当然取ってよいもの、遠慮せず取れるもの」といった意識を労働者、雇用者一人一人が持つべきではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)



転職なら「訓練費返還を」 スカイマーク、操縦士を提訴

工藤隆治

2015年1月12日05時07分 朝日新聞デジタル

 国内航空3位のスカイマークが、他社へ転職する複数のパイロットに、社内での「教育訓練費」約400万円を返すよう求めていることがわかった。一部で裁判にも発展し、パイロット側は「労働基準法違反だ」と反発する。パイロット不足の中、引き抜き防止策の一環とみる関係者もいる。

■会社側提訴にパイロット反発

 約400万円の返還を求められた20代の男性パイロットが朝日新聞の取材に応じた。副操縦士から5年で機長になる予定が、想定より乗務の割り当てが少なく、所定時間に達するのに8年かかる見通しとなり、「早くキャリアアップしたい」と転職を決意。入社当日、返還を承諾する覚書に署名したが、「大量退職を防ぐためで深い意味はない」と説明されたと話す。

 関係者の話を総合すると、同社では少なくとも10人前後のパイロットが、返還を求められている。

 「教育訓練費」とは何か。航空会社のパイロットは操縦士の国家資格に加え、機種ごとに国のライセンスがいる。さらに各社ごとに社内訓練があり、副操縦士になるには社内の審査、機長になるには国の審査に合格する必要がある。それぞれ一定の飛行時間も求められる。

 スカイマークが訴えている裁判の記録によると、国家資格を持って2011年に入社した40代の男性パイロットは、7カ月の社内訓練でボーイング737型機のライセンスを取り、副操縦士の審査に合格。同8月の人事発令で副操縦士の乗務を始めた。さらに訓練を受けて国の機長審査に受かり、13年8月には機長に昇格。だが14年2月に退職し、国内の別の航空会社に移った。

 同年4月、スカイマークは、副操縦士の人事発令から3年以内に自己都合で退職した場合は教育訓練費を請求する、と定めた就業規則などに基づき、男性に約407万円を返すよう求めて東京地裁に提訴した。

 「B737型機の機長資格を得たことにより、同型機を使う転職先での訓練期間を半分以下にでき、男性の利益は大きい」と指摘。法的には、入社時に教育訓練費の貸し借りや立て替え契約が結ばれたのが実態で、3年間の勤務で返還が免除されるにすぎないと訴える。社内訓練や審査費用のほか、訓練機の燃料代や訓練地までの交通費も請求した。タクシー会社の研修生が、会社の負担で2種免許を取った後に退職したケースの訴訟で、「免許は退職後も使え、本来個人が負担するべきだ」として、会社の返還請求を認めた判例があるとも主張する。

 一方、男性側は「副操縦士の訓練生として雇用され、訓練は勤務そのもの。業務上命じられた訓練の実費は会社が負担すべきだ」と反論。請求は転職の自由を奪い、労基法違反だと訴える。逆に、海外研修先の関連企業で業務をさせた社員に研修費の返還を求めた訴訟で、請求を認めなかった判例があるとしている。

 スカイマーク広報は取材に「係争中なので一切コメントできない」、国交省は「会社と雇用される人の契約の問題で、司法の判断を見守りたい」としている。

■LCC急増、引き抜き過熱

 航空業界では近年、格安航空会社(LCC)の急増でパイロットが足りない。

 国土交通省によると、30年にはアジア・太平洋地域で現在の4・5倍の23万人のパイロットが必要と予測される。日本でも1・4倍の8千人が必要とされ、昨夏にはパイロット不足でLCCのピーチ・アビエーションとバニラ・エアの計2千便余りが欠航した。両社とも、中途採用などで必要なパイロットは確保したという。

 スカイマークの有価証券報告書によると、同社のパイロットの平均年収は884万円。国内のLCCに移る予定のパイロットは「転職先はほぼ倍の給料を提示した」といい、転職者の多くがLCCへ移るという。

 他社の多くは、スカイマークのような教育訓練費の返還を規定していない。平均年収が約1900万円と業界最高水準の全日空は「社員の会社への帰属意識が強く、転職を想定していない」、平均1538万円の日本航空も「採用段階で辞めることまで考えていない」という。LCCは「労働基準法上、請求できないと考える」(ピーチ・アビエーション)、「職業選択の自由に触れる問題」(バニラ・エア)と、やはり費用の請求には否定的だ。(工藤隆治)

     ◇

 〈日本労働弁護団常任幹事の棗(なつめ)一郎弁護士の話〉 社内で資格を取らないと飛行機に乗務できず、訓練がパイロットの業務に必要なのは明らか。任意でもなく、費用は会社が負担すべきだ。請求も高額で、拘束期間も3年と長い。実質的には、パイロットをやめさせないで労働関係の継続を不当に強いる内容ではないか。

     ◇

 〈スカイマーク〉 国の規制緩和で、格安運賃を武器に日本航空、全日空、日本エアシステム(当時)に次ぐ4番目の航空会社として1998年に新規参入。2003年にIT業界の西久保慎一・現社長が出資し、筆頭株主となった。新興LCCとの競争で経営が悪化。旅客機購入をめぐり欧州航空機大手エアバスから巨額の違約金を求められた。羽田、新千歳、中部、神戸、福岡、那覇の各空港などに就航している。昨年3月末現在のパイロットは327人(うち外国人120人)。



<社説>新労働制度 なし崩し的導入は禍根残す

2015年1月12日 琉球新報

 世界的に日本は「長時間労働国」の域にあり、過労死が後を絶たない。働き過ぎを防ぎ、それを強いる企業を戒める方策、労働者を守る手だてが尽くされていないのだ。

 こうした中で、時間の制約のない働き方を助長しかねない新たな労働制度の導入が大詰めを迎えつつある。強い違和感を禁じ得ない。

 厚生労働省の労働基準法改正案の概要が明らかになった。働いた時間でなく、仕事の成果で賃金を払う「ホワイトカラー・エグゼンプション」制度導入を盛り込む。

 一定の要件を満たす労働者を労働時間規制の適用から外し、企業側は残業代を支払わないで済むことが可能となる。労働時間は自らの裁量で決められる一方、賃金は成果で決まる。重要なのは、企業側に残業代支払いや労働時間管理の義務がなくなることだ。

 「柔軟な働き方」の響きは良いが、残業代を抑制したい企業側だけが得する制度になる恐れが否めず、労働団体から「残業代ゼロ制度」「過労死を促進する」と手厳しい批判が噴き出している。

 政府は2014年6月、労働者側代表が不在の産業力競争会議で新労働制度を提案し、導入が決まった。働く者にとって最も重要な労働時間の制度変更が「働かせる側の論理」で決められた経緯がある。

 当初の政府方針は対象者を年収「1千万円以上」などとしていたが、厚労省案は労基法が高度な専門職の基準とする「1075万円以上」に引き上げる。職種は金融の売買担当者やシステムエンジニアなどが想定されている。

 厚労省は当初より対象者を絞り込み、健康を損なわないため、休日取得の義務付けや在社時間の上限などを設ける考えを示している。対象者は「職務の範囲が明確で高度な職業能力を有する、会社と強い交渉力を持つ人」だが、会社の権限が強い日本社会で従業員が強い交渉力を発揮し、自身の働き過ぎを防ぐケースはまれではないか。

 仕事の進め方や時間を個人に任せる「裁量労働制」でも、対象を現在の研究、企画業務から一部営業職にも広げることが検討されている。

 会社が求める「成果」を挙げるまで際限なく働かされる労働者が出てしまう恐れがある。長時間労働の懸念が付きまとったまま、なし崩し的な新労働制度導入は将来に禍根を残す。働き過ぎの明確な防止策を確立することが先決だ。



2015年1月12日(月) しんぶん赤旗

追い出し部屋 即撤去を
日立グループに分会結成
電機・情報ユニオン


 人権無視のリストラに反撃しようと11日、電機・情報ユニオン東京支部日立超LSI分会の結成大会が東京都内で開かれ、「巨大企業を内部から変える第一歩にしたい」「追い出し部屋を即時撤去させたい」などの決意にあふれました。

 日立グループは人権・人格を無視するリストラをすすめています。その一環として日立超LSIシステムズは、2013年3月に半導体デバイス事業撤退にともなって早期退職の強要など大リストラを実施。早期退職に応じず会社に残った労働者には、「仕事を与えない」「自宅待機」などの差別をしました。

 同年秋には、異業種の派遣会社への出向を業務命令で強行しましたが、電機・情報ユニオンの団体交渉を通じて、出向解除の成果を勝ち取り、昨年末に復職しました。ところが、復職当日に面談を実施し、転職支援会社・パソナで自分たちの出向先を探させるという「追い出し部屋」に配属。人権無視の対応が続いています。

 40代後半の組合員は、「子どもに今何の仕事をしているかと問われても答えられないのが、悔しくてつらい」と言葉を詰まらせながら、「安心して誇れる仕事を続けていきたい」と決意をのべ、大きな拍手を浴びました。

 東京地評の菊池光男組織局長らが連帯のあいさつをしました。


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