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労働組合は時代とともに変化するしかない、それができなければ組織率を低下させるのみ/介護職不足は日本人全体の問題、安易な外国人頼りでは何も解決しない/搾取が透けて見える外国人技能実習制度では駄目だ 

労働組合は「正社員だけ」の味方なのか? 苦しんでるのは非正規なのに
深刻な人不足の介護職 外国人頼りで 解決できるとは思えない
社説 【外国人実習拡大】 人権の保障が大前提だ

労働組合は「正社員だけ」の味方なのか? 苦しんでるのは非正規なのに

2015.01.31 20:12 ガジェット通信

労働組合らが賃上げや労働条件の改善を要求する「春闘」が、2015年1月26日の経団連「労使フォーラム」を皮切りに事実上始まった。だが、その影響力は年々下がってきており、若い世代を中心に「何のための組合なの?」という声もある。

テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」は1月27日、「春闘本格化 労組は賃上げの味方?」という特集をトップで放送した。2万5000人の正規社員が所属する日立製作所労働組合の中枢に入り込み、「労組は誰の味方なのか」と厳しい質問を投げかける意欲的な取材を行っている。
「そこで糧を得て働く人」を守るのではなかったか

番組のカメラは、東京・江東区の日立労組の内部を映し出した。30畳の事務室に20人が勤務し、豪華なソファとテレビが置かれた委員長室からは、立派な日本庭園が見える。

しかし従業員の3割を占める非正規労働者は、この組合に加入できない。この点について坂本達哉・中央執行委員長はこう答える。

「本当はもっと非正規の部分も、というところはあるんですが、正直そこまでは無理です。(正規社員の)組合員から財源をいただいているわけですから、組合員の声を100%聞け、というのがニーズだと思います」

正規社員から財源を得ている以上、非正規職員の言い分を聞く必要はないということか。であれば、従業員の3割は「労働組合に守られなくていいのか」ということになる。坂本委員長はその前に「組合の存在意義は?」と問われ、一瞬絶句しながらそれと矛盾する回答をしている。

「企業が存続していくことが重要。そこにいる人はそこで糧を得て働いて、生計を成り立たせているわけですから、それをどう守っていくか、守るのは誰かと言ったら、それは組合ですよ」

まさに巨大企業の労組が抱えるジレンマといった状態だ。この特集はツイッターなどでも話題になっていて、「労組は非正規スルーだもんな」「労組自体を守る為に活動しているとしか思えない」「ヘタすると一緒にリストラ手伝ってるとこあるよ」など冷ややかな意見が目につく。

トヨタ労組が「旗振り役」となるか?

全労働者に占める非正規労働者の割合は14年11月で38%に達し、5年連続で増加する一方、正社員は7年連続で減少している。非正規労働者は、企業にとって欠かせない戦力だ。

厚生労働省の2014年の調査によると、全雇用者数に占める労働組合員の割合(推定組織率)は17.5%で過去最低を更新した。非正規労働者の加入が半数を占めるUAゼンセンの逢見直人会長は番組で、こう危機感を募らせる。

「非正規労働者は処遇が低いとか、有期雇用であるとかいろんな制約があって、正社員に比べると非常に低い状態に置かれている。そういう問題を労働組合が取り上げていかないといけないと思っています」

報道によると、先陣を切って春闘交渉を始めているトヨタ自動車労働組合が、非正規(期間従業員)の日給を300円引き上げる要求をするという。月額で6000円だ。同労組は14年の春闘でも、非正規の日給を200円引き上げることに成功している。

1月26日に開催された経団連の「労使フォーラム」では、榊原会長が「賃金の引き上げに最大限の努力を」と異例の要求をしている。巨大企業の労組が旗振り役になって非正規労働者の賃上げ、ひいては正規・非正規の格差是正が進むのか注目が集まっている。



深刻な人不足の介護職 外国人頼りで解決できるとは思えない 

2015.01.31 16:00:11 SNN

by NEWSポストセブン

 介護職に外国人を導入する動きが広がっている。定着率の悪さが理由だが、安易な解決策にならないか。介護職の問題について、コラムニストのオバタカズユキ氏が斬り込む。

 * * *
 1980年代前半に「ジャパゆきさん」という言葉が流行した。出稼ぎでやってきたフィリピーナを始めとする東南アジアの女性たちを指す造語だ。その労働力の調達にはたいて暴力団がからんでおり、女性たちは「エンターテイナー」として夜の労働に従事。不法滞在や給料不払いなどのごたごたも多発し、当時は大きな社会問題となった。

 あれから30年。今でも日本でセックスワークに就いている外国人女性は少なくない。だが、こんどの新しい労働力は国が調達しようとしている。労働現場は人不足が深刻な介護業界だ。厚生労働省が「外国人技能実習制度」の対象職種を介護職にも広げ、最長5年で実習生の受け入れを計画している。

 これまでも経済連携協定(EPA)の枠組みで、インドネシア、フィリピン、ベトナムから介護福祉士の候補者を受け入れてきた。だが、今年の1月までに累計1538人中481人が帰国してしまった。5年以内に国家資格の介護福祉士試験に合格しなければならない、と定めたハードルが高すぎるためと説明されている。

 このままでは団塊の世代が後期高齢者となる2025年に、介護職員が30万人不足してしまう。なら、「外国人技能実習制度」では受け入れのハードルを下げようとなった。どのぐらい下げるかといえば、入国時点での日本語の能力が小学校低学年程度あればいいそうである。

 実習2年目に入るまでに小学校高学年程度の日本語能力の習得を求めるとのことだが、何にしてもかなり大胆なハードルの下げ方だ。介護が小学生レベルの言語運用でこなせるとは、常識的に考えにくい。ちょっとしたコミュニケーションのミスが事故に直結しやすい仕事なのだ。介護業界の意見も加味されたらしいが、こなせると判断した業界の偉い人たちがどれだけ現場を把握しているか疑問だ。

 2015年度中の受け入れ開始を目指しているこのプロジェクト。でも、深刻な人不足を補うボリュームで海外から労働力がやってくるものだろうか。「ジャパン・アズ・ナンバー1」だった頃ならいざ知らず、うちらは落ち目でまわりの多くはぐいぐい経済発展している昨今である。日本人が敬遠する仕事だから外国人に任せよう、との発想自体が世界をナメすぎてはいないか。

 全国規模のデータは見当たらなかったのだが、例えば静岡県では、2014年度に外国人介護職員の雇用人数が初めて減少したという(産経ニュース)。県はその要因を〈個別の事情もあるが、低い給与により、他業種への転職が考えられる〉としている。

 そう、日本の給与は諸外国と比べてかつてのように高くはない。とりわけ介護職の給与は安い。日本人の介護職員不足も、一番の理由は待遇の悪さだ。

 介護職の給与については、「平均月給は約22万円。すべての職の平均額よりも10万円安い」とよく指摘される。この数字のソースは、厚生労働省の「平成25年賃金構造基本統計調査」で、そこにはたしかに「福祉施設介護員」の1ヵ月当たりの給与額が「218.6千円」とある。しかし、現実は月給20万円以上の介護の職を見つけるのは簡単じゃない。現実はもっと厳しく、正規の職員でも額面20万円未満、手取り15万円前後というあたりが一般的なのだ。非正規の場合は、たいてい時給がその都道府県の最低賃金とほぼ同じである。

 日本人にだって「お爺ちゃん、お婆ちゃんが好き」「お金儲けだけじゃない、手ごたえのある仕事がしたい」などの動機で、介護職を進路の選択肢に入れる若者はけっこういる。あるいは、他業種から介護の世界に転身を図ろうという社会人が少なくない。

 でも、それぞれの期待を胸にその世界に飛びこんだはいいが、「先が見えなくて」辞めてしまう人がとても多い。手取り15万円前後も介護職1年目ならば修業ということで我慢できるが、ほとんどの事業所は「昇給なし」か、あっても微々たる額なのだ。「ボーナスなし」も基本、出て1年に給与1カ月分がせいぜいの世界。「これじゃ結婚、子育てがムリ」となってしまう。

 介護の質の低さがしばしば批判されるが、下手すりゃ、介護相手の年金受給額のほうが自分の給与額より上、という待遇で介護職員は働いているのである。せめて「介護職同士の共働き夫婦で家族が作れる」ぐらいの給与水準に持っていかなければ、質について何を問おうが無理筋というものだろう。

 これはもう我が国にとって喫緊の課題に他ならない、政官財一体となって介護職の待遇向上を図れ、と筆者は思うのだが、国はさっそく外国人頼りだ。けれども、前述したように、この国の給与はもう世界の憧れ水準ではないし、ましてやダントツ低い介護職の待遇なのだ。

 小学生レベルの日本語能力だって、身につけられる外国人は相応のポテンシャルとやる気を有する人材である。「外国人技能実習制度」で門戸を開いても、そんな人材はたいして集まらない、あるいは来日してすぐに現実が見えて続々帰国、となる可能性が高い。

 介護は年寄り世代だけの問題では決してない。肉親が要介護になれば、その子供世代は当然のこと、孫世代も、介護のプロの力を借りながら爺ちゃん婆ちゃんの面倒をみることになる。自分自身だって、いつかきっと要介護になる。介護のプロの世話を必要とする。

 自分が世話になる人は報われなくてはならない。そういう発想で、介護の世界を崩壊させない責務が我々にはあると思う。



社説【外国人実習拡大】人権の保障が大前提だ

2015年01月31日08時00分 高知新聞

 厚生労働省の有識者検討会は、外国人技能実習制度の対象職種に介護分野を追加することを認める報告書をまとめた。受け入れは2016年度に始まる見通しだ。

 人口減少が進み、働き手の確保が重大な課題になっている。しかし技能実習制度をめぐっては、賃金不払いや過重労働など違法行為が後を絶たない。受け入れを拡大するのなら、人権の保障や労働環境の改善が大前提となる。

 介護の現場では慢性的に人手が不足している。団塊の世代が全て75歳以上となる25年に向けて今後80万人程度増やす必要があり、人材確保が急務となっている。

 介護分野では現在でも、経済連携協定(EPA)に基づきインドネシア、フィリピン、ベトナム3カ国から外国人労働者を受け入れている。

 日本の国家資格を取得し、長期間働いてもらうことを期待しているが、来日した約1500人のうち合格者は約240人にとどまる。日本語の習得などがネックとなっているからだ。

 このため政府は昨年6月にまとめた新たな成長戦略で、技能実習制度に介護分野を加えるかどうか検討するとしていた。

 技能実習制度は本来、習得した技術を母国の発展に役立ててもらうことを目的とする。高齢化への対応は世界各国でも重要なテーマだ。日本が培った介護技術を海外で活用してもらえれば意義はある。
 だが技能実習の名の下に、都合のいい労働力として利用される懸念は拭えない。過去には外部との連絡禁止や帰国の強要など人権侵害もあった。

 さらに製造業が中心の従来の技能実習と違い、介護は人を相手とするサービスだ。中には認知症などを抱える利用者もいる。安易な受け入れはサービスの質の低下を招く可能性もある。

 報告書によると、一定の日本語能力や専門知識といった固有の要件を設定する。適切な指導のため実習生の受け入れ人数にも厳しい上限を設ける。

 利用者の命や安全に関わるだけに、指導体制の充実が欠かせない。

 技能実習制度は海外からは「強制労働」との批判もある。政府は制度そのものを見直し、不正監視や実習生保護を強化する方針だ。

 外国人と共に働く場面はこれからもっと増えるだろう。不当な扱いを許さない仕組みづくりを急ぎたい。


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