ニート化は大人社会への抵抗か/安倍政権による労働環境の悪化策は少子化を促進するだけ/世の中にある金が低い方から高い方へと流れないようにするのが国家の役割、それを忘れた政治家はいらない 

ニート 最多1.5万人 人口比4.6% 全国最悪 沖縄
「残業代ゼロ」は少子化に拍車
搾取される中間層 進む富の偏在

県内のニート、最多1.5万人 人口比4.6%、全国最悪

2015年2月15日 琉球新報

 県内の15~34歳の非労働力人口のうち、学校にも行かず家事も職業訓練もしていない若年無業者(ニート)が2014年平均で1万5千人に上り、前年比千人増と過去最多を更新したことがこのほど、総務省の労働力調査で分かった。人口比率は4・6%と前年比0・4ポイント増。全国平均2・1%を大きく上回り、全国ワーストが続いている。県は厳しい雇用情勢に加え、不登校率や中卒・高卒時の進路未決定率の高さなどが背景にあるとみて、対策に乗り出している。

 労働力調査から計算すると、県内の若年無業者は2010年に9千人、11年に1万人、12年は1万1千人、13年は1万4千人と増加を続けている。人口比率で見ると、10年は県内2・6(全国平均2・1)%、11年は2・9(同2・2)%、12年は3・3(同2・3)%、13年は4・2(同2・2)%となり、全国との差が拡大している。

 沖縄大学福祉文化学科の島村聡准教授は「失業率や非正規雇用率の高さなどぜい弱な産業構造、貧困に起因する教育力不足などを背景に悪循環が続いている」と指摘する。「雇用のミスマッチといっても本人が就業レベルに到達していない場合と、雇用条件が悪すぎる場合の両方がある。若年者が希望を持って働けるよう雇用構造を変えていかないと解決しない」と語り、貧困世帯の教育支援や雇用環境の改善が急務だとした。



保坂展人

2015年02月15日 00:06 BLOGOS

「残業代ゼロ」は少子化に拍車 (「太陽のまちから」2015年1月20日)

 「残業代ゼロ」の波紋が広がっています。

 安倍政権の成長戦略の「目玉」として、また労働者保護のための「岩盤規制」を打破する改革メッセージとして、経済界の期待のもとに打ち出されたのが「ホワイトカラーエグゼンプション」とも呼ばれる「残業代ゼロ」制度の新設です。1月16日に厚生労働省が発表した骨子案は、「年収1075万円以上」を対象に残業代を支払わないというものです。この制度をめぐって、私はこんなツイートをしました。

<少子化と人口減少の原因は、あまりに安い劣悪な雇用環境が労働市場の規制緩和で広がったことと、有給もとらずに長時間サービス残業も一般化していることにある。残業代ゼロは決定打となる>(2015年1月17日)

 昨年の人口減少は26万8千人に及び、2009年から始まった減少人口の累計は112万人になりました。一方で、出生数も下がり続けて100万人の大台を割る直前まで近づいてきました。安倍政権も「人口減少」に危機感を持って「地方創生」や「女性活躍」などを看板にしようとしているのだと思います。

 私が注目するのは、「団塊の世代」の子どもたちである「団塊ジュニア」(1970年代前半生まれ)の世代です。この世代が20代後半から30代前半になる間に出生数は上昇しませんでした。妊娠・出産の可能な世代が人口としては増えたにもかかわらず、子どもの数が増えなかったのはなぜでしょう。

 この時期は、労働市場の規制緩和による不安定雇用が増え、賃金は下がり続け、「ワーキングプア」と呼ばれる「新たな貧困」が社会問題化した時期にあたります。

 90年代後半から「派遣労働」などの非正規雇用が激増しました。2008年のリーマンショックでは、「派遣切り」にあって解雇され、会社の寮を追い出されて行き場を失った人たち日比谷公園の「年越し派遣村」に集まりました。そのなかには、中高年の労働者だけでなく若年層も目立ちました。

 派遣の工場労働者は、会社にあてがわれた寮の家賃や光熱費を給料から天引きされて、日々の食費や最低限の買い物をすると、ほとんど残金がありません。「結婚」「子育て」は、彼らにとってたどりつくことが難しい別世界の話となったのです。

 また、正社員であっても、「就職氷河期」に労働条件は厳しくなり、サービス残業や長時間労働はあたり前のブラック企業が増えています。苛酷(かこく)な労働条件の中で起きる「過労死」や「精神疾患」も高止まりを続けています。

 人口減少と少子化の進行は、「非正規雇用による格差社会」と「ブラック企業の増加と長時間労働の常態化」に原因がある、と私は考えています。したがって、出産や子育てがしやすい社会にするためには、「格差解消」と「人権を尊重される労働条件の回復」を徹底する以外にありません。しかし、これから始まる国会で審議される「労働者派遣法」改正は、すでに2千万人を数える非正規雇用を拡大して、格差をさらに広げていくことにつながる懸念があります。

 そうした状況で打ち出された「残業代ゼロ」は、成果主義の名のもとに賃金カットと長時間労働を固定化することにつながり、さらに出生数を押し下げる恐れがあります。いま、目指すべきは「残業代ゼロ」ではなく、「残業ゼロ」の労働環境ではないでしょうか。

 今回の「残業代ゼロ」は、収入1075万円以上が対象だから、一般への影響は少ないと考えている人もいるようですが、間違っています。永田町や霞が関には「小さく産んで大きく育てる」という言葉があります。国民の反発の強い法案や制度を導入する時に、まずは抵抗の小さいところから道を開き、次第にその対象を広げていくという意味です。「残業代ゼロ」もまた、対象が年収800万円、600万円、400万円と次第に下げられていくことは十分に想定できるところです。

 私が格差解消のために必要だと考えるのは、まず「非正規労働」の低すぎる賃金を底上げすることですが、目先の利益しか考えない経済界にとっては、「正社員の賃金を非正規社員に近づける」ということになるようです。こうした考えはブラック企業の合法化にもつながり、社会は荒廃していくでしょう。

 しかも、政府と日銀が一体となって「物価上昇」を仕掛けている時期です。消費税のアップで消費は冷え込んだまま、回復していません。非正規労働者の格差解消と賃金の底上げこそ必要です。

 経済界言いなりの「残業代ゼロ」制度は、「少子化」にさらに拍車をかけることにつながらないのか。まもなく始まる国会の議論を見守りたいと思います。



搾取される中間層 金持ちはより金持ちに、貧乏はより貧乏になる理由 進む富の偏在

2015年2月15日 8時0分 ビジネスジャーナル

livedoorNEWS

『21世紀の資本』(トマ・ピケティ/みすず書房)が売れている。日本では昨年12月に発売され、通販サイトのアマゾン・ドットコムの総合順位(書籍)で5位(1月27日現在)というから、売れ行きのすさまじさは想像を超えている。通常アマゾンの上位ランクは、グラビアアイドルの写真集や啓発本、それから漫画が占める。経済学の専門書である同書が、出版不況の真っただ中でこれほど売れるのは奇跡といってよい。もちろん購入しても読まない人も多いはずだし、そもそもベストセラーとは普段本を読まない人が買うから何十万部、何百万部も売れるのだ。

 とはいえ、この現象は単なるブームではないような気がする。今の時代を覆う理不尽さに対する国民の不満の表れと思えて仕方ないのだ。同時に、始まったばかりの相続増税について、それまで考えてもいなかった疑問が湧いてきた。

 まずはピケティの理論を簡単にみておこう。ピケティは膨大な税務データを分析することで、資本主義社会では富と所得の格差は必然的に広がる、とする法則を導き出した。こうした手法は社会科学では新しいわけではないが、ピケティの斬新さは、分析した税務データが過去200年間に蓄積された膨大な「生データ」という点だ。こうした作業が可能になったのは、いうまでもなく情報技術の進化にほかならない。手作業の時代にピケティと同じ問題意識を持つ研究者がいたとしても、分析作業にコストと時間がかかりすぎ、法則までたどり着くのは不可能だったに違いない。

 ピケティはまず、アメリカやフランスにおける所得格差に注目する。例えば、現在のアメリカでは、人口の1%が同国総所得の25%を占めている。さらに人口の10%が同50%を占めている、と現実を突きつける

 次は資産格差だ。アメリカの上位10%が所有する資産は全体の70%、次の10~50%の中位層は同25%、そして残り50%の下位層は同5%にも満たない。ヨーロッパはどうか。上位層が同60%、中位層が同35%、そして下位層が同5%で、中間層の割合が異なるだけでヨーロッパでも下位層は資産をほとんど持っていない。しかも興味深いことに、1810年当時のヨーロッパでも上位層は同90%の資産を独り占めしており、残りの10%を中位層と下位層が5%ずつ保有していたというのだ。

 つまり、所得と資産の大半は200年前から一部の金持ちに偏在していたということだ。そして、時代と共に中間層が形成されたものの、下位層は相変わらず貧乏のままなのだ。

●r>g

 では、なぜいつの時代も上位層は所得も資産も多いのか。

 この問いに対する答えがr>gだ。rは資本収益率。ここで資本とは、投資に回した資金のことで、同時に実物資産と金融資産の合計を意味する。資本収益率rは、資金を資産に投資した結果得た利益。つまり、rは資本の投資利回りである。gは経済成長率を意味するので、r>gとはこの200年間rが常に経済成長率gを上回っていたということだ。経済成長とは国全体の付加価値(富)が増えることだから、国全体の付加価値の増加gより、資本運用によって得た所得rの増加のほうが多かったということである。

 この法則は、企業に当てはまるのだろうか。試しに管理会計を使って考えてみよう。

 企業における資本とは、調達した資金(=お金)のことだ。企業は、資金を資産として運用して利益を得ている。バランスシート(BS)を見れば、企業における資金の状態は一目瞭然だ。BSの右側である負債と資本は資金の調達源泉を、そして左側の資産が資金の運用状態を表しているからだ。

 経営者のミッションは、株主や債権者から預かった資金を効率的に運用して利益を上げることだから、総資産(=総資本)に対する利益の割合を表す投下資産利益率ROA(利益÷総資産)が、経営効率を測定する指標として用いられるのである。

 このROAはピケティのrと同義と考えられる。そして、もうひとつのgは、企業の売上高増加率に置き換えることができる。

 つまり、ピケティの法則を企業に適用するならば、ROAの伸び率は、常に売り上げの伸び率に勝っているということだ。

 こう考えると、巨大企業がますます巨大化する理由が見えてくる。ROAは常に売り上げの伸び率より高いので、利益は売り上げの伸び以上の速度で増え続ける。その結果、巨大企業の資本はますます増加して投資も増える。こうして巨大企業の利益と資本は増殖し続ける。例えば、中国の国営企業が瞬く間に世界のトップに躍り出たのも、韓国のサムソングループや現代グループが突出して拡大し続けるのも、戦前の我が国の財閥が解体させられたのも、同じ理由といえそうだ。逆に、中小零細企業の経営がいつまでたっても資金繰りが苦しいのは、そもそも運用できる資本が少なく、かつROAが低いからである。

●相続増税のまやかし

 とはいえ、企業と個人に同じ法則が当てはまると断定するのは早計だ。なぜなら、企業は常に競争にさらされており、マネジメントがうまくいかなければ倒産に追い込まれて、すべての資産が消えてしまうことがあるからだ。ところが、資産家の家庭に生まれ落ちれば、それだけで資産を手にすることができる。そして、しかるべき機関に資本運用を任せれば、本人が何もしなくても資産は所得を増やし続ける。

 つまり資本主義の社会では、必然的に所得と資産の偏在が生じてしまうということだ。だからこそ、この不公平を是正するために、国による強制的な富の再配分が必要であり、具体的には相続税の課税強化ということになる。

 日本では、今年から格差是正、富の再分配機能強化の観点から、相続税法が大きく変わった。主な改正点は、基礎控除の引き下げと、税率の引き上げだ。基礎控除額が「5000万円+法定相続人×1000万円」から「3000万円+法定相続人×600万円」に縮小され、2億円超の金額に対する税率が引き上げられ、6億円超の最高税率が55%になった。

 だが、富の再配分の観点からすれば、超富裕層により高い税を課すべきだったにもかかわらず、たった5%増えたにすぎない。その一方で、基礎控除額を引き下げて、中間層に幅広く課税しようとしている。

 総務省統計局の資料(平成21年度)によれば、1億円以上の家計資産を有する世帯は3%、5000万円以上が6.7%である。家計資産の内訳は、金融資産、宅地・住宅、耐久消費財を含むから、地価の高い都市部は当然高くなる。今回の増税で、相続税を納税する世帯は全体の3%から5%程度に増えるという。家計資産が5000万円以上1億円未満の人たちが狙い撃ちされたのだ。しかし、こうした人たちは富裕層ではない。土地が値上がりし、こつこつと貯めた預金が課税範囲に達したというだけにすぎない。相続税を支払うために、老後の資金がなくなるかもしれないのだ。ちなみにアメリカでは、遺産税の基礎控除は500万ドル(約6億円)で、準富裕層や中間層には課税しない。

 戦後、日本の中間層は分厚くなった。せっかく増えた中間層に対して課税を強化し、最高税率をたった5%引き上げただけでは、富の偏在をなくすという目的は達成されない。デフレの時代につくられたこの税制が、日本経済にとってマイナスに作用することのないように祈るばかりだ。
(文=林總/公認会計士・税理士)


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