経営者の夢想のために従業員が被った悪夢/介護の世界が深刻な人手不足なのは実態が報酬や理想と乖離しすぎているため 

「グラス・ワン・テクノロジー」 解雇通告 従業員約30人に憤り 佐賀
中高年男性 再就職は介護の世界 深刻な人手不足続く現場

 自治体の雇用奨励金などの補助要件を満たさず、一度も稼働しないまま破綻するような企業に翻弄された労働者。自治体は協定書を結ぶ前に企業をしっかり審査をせよ。

=グラス・ワン破綻= 解雇通告に従業員憤り

2015年02月21日 11時05分 佐賀新聞

■“救世主”の期待、一転破綻

 佐賀県内でのタッチパネル加工事業を停止し、債務整理手続きに入った「グラス・ワン・テクノロジー」(東京都千代田区、堀野智社長)は20日、県内工場の全従業員に解雇を通告した。閉鎖した工場跡を買い取って退職者を再雇用するなど、県や佐賀市も期待していた進出企業の突然の破綻。担当課は情報収集に追われ、従業員からは戸惑いや憤りの声が上がった。

 代理人弁護士は同日、資金繰りが滞って事業を継続できないとして、神埼郡吉野ケ里町の工場従業員に解雇を通告。この日も普段通りに出社した女性社員は「あまりにも唐突」と言葉をなくした。事後処理のために勤務を続ける一部社員を除き、今月末で約30人を解雇し、手当として給料の2カ月分を支払うという。

 同社は「低コスト・高効率」のビジネスモデルを掲げ、2013年9月に吉野ケ里町に進出。14年2月には閉鎖した佐賀市のリコー計器工場跡を買収した。2工場体制で400人規模の雇用と通期売上高50億円を目標にしていたが、加工技術は確立できず、受注実績もほとんどないまま、わずか1年余りで経営破綻した。

 弁護士や県によると、従業員はリコー計器の退職者を含めて約60人。事業が軌道に乗らず、大半は自宅待機で、このうち約20人は1月下旬に解雇を通告されていた。出社していた残りの社員も、昨年10月から給与を減額されていたという。

 昨年8月から自宅待機が続いていた佐賀市の40代男性は、休業手当だけでは家族を養えず、貯金を取り崩してきた。「働けると信じて耐えてきたのに突然、解雇なんてひどすぎる」と憤った。

 同社は13年8月、経産省から円高対策などの補助事業の採択を受けたが、事業報告が未提出のため、補助金は交付されていない。自治体の雇用奨励金なども補助要件を満たしておらず、交付実績はないという。

 佐賀市への進出時には、秀島敏行市長も出席して協定書に調印した。リコー計器の従業員の再雇用と跡地問題が一気に解決する計画に、喜びと期待感を示していたが、結局、一度も稼働しないまま破綻。“救世主”の登場から一転、最悪の事態となり、市の担当課は「従業員の雇用確保を第一に考え、早急に対策を取らなければ」と対応に追われた。



 中高年のひどすぎる雇用状況を解決するが深刻な人手不足の介護サービスではないはずなのだが、再就職を頓挫させないようするのは至難の業である現在の状況は誰が創り出したものなのか。
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中沢 彰吾

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【生きる働く】中高年男性 再就職は介護の世界 深刻な人手不足続く現場 就職難、増える希望者

 再就職活動で、介護職を目指す中高年男性が目立っている。景気は回復基調にあるとはいえ依然、中高年の再就職を取り巻く環境は厳しい。半面、介護サービスは深刻な人手不足が続いており、「長く続けられる安定した仕事」として注目されているようだ。

 「面接までこぎ着けても年齢が壁になって、ことごとく落とされた」。コンピューター関連のエンジニアだった男性(53)は言う。

 2年前に失業。妻と小学生の子ども2人との生活がある。すぐに再就職活動を始めたが、面接を受けても「あなたよりずっと若い人が上司になります。大丈夫ですか」と諭された。6社全てから不採用を通知された。

 雇用保険の失業給付も切れて途方に暮れていたとき、ハローワークの窓口で紹介されたのが月10万円の生活費をもらいながら、無料で職業訓練が受けられる国の「求職者支援制度」だった。IT、営業・事務…。六つのコースから「介護」を選んだ。

 「超高齢社会で需要が減ることはない。景気にも左右されない」。昨年5月から、かつてのヘルパー1級に相当する「介護職員実務者研修」を受講。今春から、介護施設で働けるよう勉強を重ねている。

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 この男性のように、中高年男性で、再就職先に介護を目指す人が増えているという。

 この制度のもと、介護訓練を国から受託している福祉研究カレッジ天神校(福岡市)の高木宏次事務局長は「制度が始まった2011年当初は女性の受講者が大半だったが、今は40代以上の中高年男性が6割を占める」と指摘する。

 同校が中高年男性に受講理由を聞いた調査でも、「介護士不足と聞き、おやじでも役に立てると思った」(55歳男性)「30社ほど面接を受けたが全て不採用。介護職は就職活動に有利」(元営業職男性60歳)など、介護業界の人手不足を挙げる回答が目立った。

 実際、6コースのうち、全国で就職率が最も高いのが「介護福祉」。12年度が84・7%、13年度が87・5%で、それぞれ6コース平均の79・5%、84・2%を上回っている。

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 厚生労働省によると、2014年平均の全体の有効求人倍率は1・09倍と人手不足の状態。ところが、年齢別にみると40~44歳は0・94倍、45~49歳0・88倍、50~54歳0・88倍などと、40代を超えると人手が過剰になる。

 一方、介護職の人手不足は深刻だ。全職業の全国平均の有効求人倍率(14年12月)は1・15倍だが、介護職の全国平均は2・67倍と2倍を超えた。こうした現状は中高年の再就職活動に大きな影響を与えている。

 介護訓練を修了し、今年1月末から福岡市東区のグループホーム「愛・あい」で働く古賀洋二さん(44)は大手化学会社の元工場長。工場が閉鎖して失業した。「お年寄りをベッドから抱え上げるなど身体介護は力仕事。同僚の女性職員からありがたがられます」とやりがいを感じている。

=2015/02/21付 西日本新聞朝刊=


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