わずかばかりの解決金で顔をはたいても何も解決はしない、労働者にたまる労働政策への怒りは増すばかり/ただでさえ低い報酬が2倍になるとでもいうのか、安易な統合はさらに人材不足を招くだけ/女性が輝ける日はいつになったら来るのか? 2件/要求を闘って勝ち取るしかない 

「カネで解雇を買う日」は本当に来るのか 労働者は泣き寝入りするしかない?
介護・保育士資格統合 厚労省検討 人材確保狙い
「高学歴であればあるほど損をする」 女性の雇用環境
女性と仕事 「非正規」から抜け出せない
産別最賃 月4000円増で合意 ストで要求前進 全国港湾

「カネで解雇を買う日」は本当に来るのか
労働者は泣き寝入りするしかない?


武政 秀明 :東洋経済オンライン編集部

2015年04月11日

 「いきなり懲戒解雇なんて納得できませんよ。裁判で解雇無効を争いたいと考えています」

 202X年3月。東京都内のA社に勤める40代男性の吉田光彦さん(仮名)は、人事部長に切り出した。

 A社は1990年代後半に新卒で入社した吉田さんを、202X年7月に子会社へ出向するように命じたが、それに応じなかったために業務命令違反として懲戒解雇を言い渡した。社長派の上司とウマが合わない面もあったようだ。

「おカネさえ払えば解雇」が現実に?

 反発したのは吉田さんだ。「業務成績は平均以上にもかかわらず、待遇の悪い子会社へ出向させるのは不当」との主張により、吉田さんは解雇無効を求める裁判を起こす旨を人事部長に伝えた。すると人事部長からは、こんな答えが返ってきた。

 「わかりました。ただ、裁判には時間もカネもかかりますよ。もし労働者側の吉田さんが申し立てるなら、この解雇を金銭で解決する手段もあります。あくまで一般論ですが、同様のケースでは会社は規定の退職金以外に、1年分の月収に相当する金額を払った先例があります」。

――以上の話はあくまでフィクションだが、現実になる可能性が出てきている。政府の規制改革会議が3月にそんな制度を提言したのだ。裁判で「解雇無効」とされた労働者に対し、企業が一定の金額を支払うことで解雇できるようにする「解決金制度」(金銭解雇)がそれである。厚生労働省は今後、新制度を検討する有識者会議を設ける見通しだ。

 この制度は10年以上前から何度か俎上に載せられてきたが、今回は少し中身を変えた。これまでの案では金銭解決は使用者(会社)、労働者の双方に権利が適用される前提だったが、今回は使用者側の申し立ては認めず、あくまで解雇無効を勝ち取った労働者側にのみ金銭解決を求める権利があるとした。

 過去を振り返れば、この制度は労働団体や弁護士、学識経験者などから、「カネさえ払えば会社側の意にそぐわない労働者を合法的にクビにできるのは問題だ」という強い反発を受け、導入は実現してこなかった。今回はこれらの批判をかわすように内容を変え、制度導入を進めたいのが政府の考えのようだ。

 企業間の競争が激しくなる中で、解雇や賃金切り下げをめぐり、裁判や全国の労働委員会で争われる労使紛争は絶えないが、日本の労働法規は解雇の条件を厳しく制限している。労働契約法には、使用者が解雇を行う場合に、「客観的に合理的な理由と社会通念上相当と認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」との規定がある。そして恣意的な解雇は判例の積み上げによって規制されてきた。

 一方、安倍政権は雇用の流動化を成長戦略に掲げている。そこで、解雇の規制緩和を推し進めるための突破口と狙うのが、規制改革会議による今回の金銭解決制度の提言である。

実際は職場に戻れず退職するケースがほとんど

 解雇が労働法規で厳しく制限されていると言っても、「表に出てきていないだけで、実際は法に沿わない解雇をしている企業は少なくない。その場合は解雇された側が泣き寝入りするケースが多い」と、労働問題の専門家が口をそろえる実態もあり、金銭解決制度ができれば、労働者にとっても一定のセーフティネットになるという見方はある。

 ただ、このまま制度が導入されるのは危険な側面もある。当初は制度上で労働者側にしか金銭解決を求める権利がなかったとしても、実質は会社側の思惑に近い格好で、意にそぐわない労働者を解雇に追い込むことも可能になり得るからである。

 どういうことか。解雇をめぐる裁判では、「労働者が勝っても、現実的に職場に戻れずに退職するケースが大半を占める」とは厚労省労働基準局が2005年に『週刊東洋経済』の取材に対して示した見解だ。

 解決金制度が導入され、会社がカネを払って辞めさせることを前提として解雇に踏み切れば、労働者が職場に戻るのはこれまで以上に難しくなりかねない。裁判には多額の費用と長い年月が必須。再就職で日銭を稼がなければならない労働者にとって、そこまでして争うのは負担が大きく、泣き寝入りさせられるケースだってありえる。

 企業にとって働きの悪い、能力の低い従業員を解雇するためには、もっと法的な枠組みが必要だという理屈はあるかもしれない。ただし、このような制度をいたずらに導入すれば、経営者にとって都合の悪い、言うなればウマが合わないという理屈だけで、人格や能力を問われずにいきなりクビを切られる労働者が続出する可能性も否定できない。日本労働弁護団の戸舘圭之弁護士は「使用者がカネを払って合法的に辞めさせることに使われかねない」と指摘する。慎重な議論が求められるところだ。



介護・保育士資格:統合、厚労省検討 人材確保狙い

毎日新聞 2015年04月11日 東京朝刊

 厚生労働省は少子高齢化と人口減で人手不足が懸念されている福祉人材の確保に向け、介護福祉士や保育士などの資格を一本化する検討に入った。戦後ベビーブームの「団塊の世代」が全員75歳以上になる2025年以降を見据えた動きで、介護施設と保育施設などを一つにまとめて運営できるようにすることも考えている。近く省内に検討チームを発足させ、利点や課題を整理する。【中島和哉】

 厚労省の推計によると、25年に必要とされる介護職員の数は約248万人で、このままでは約33万人不足し、保育士も17年度末には約7万人足りなくなる。

 人口減が進む40年には、地方の過疎化が一層深刻化する見通しで、厚労省は介護施設や児童福祉施設などがバラバラに点在している現状では、人手不足で存続できない施設が続出する可能性があるとみている。

 ただ、保育士の場合、今後の少子化で大幅に人員を増やせば将来過剰となる。このため、厚労省は介護施設、保育施設、障害者施設を1カ所にまとめられるよう規制を緩和したうえで、介護福祉士や保育士など専門職種で分かれている資格を統合し、1人の職員が子育てから介護サービスまで提供できるようにする仕組みを検討することにした。

 参考にするのが、フィンランドが導入している医療と社会福祉サービスの共通基礎資格(ラヒホイタヤ)だ。ホームヘルパーや准看護婦、保育士、リハビリ助手など計10の中学校卒業レベルの資格を一本化した資格で、福祉や介護に従事する職員を確保する必要性から生まれた。1人で複数の分野を掛け持ちできる職員を福祉の現場に配置し、柔軟に対応できるようにしているという。

 この資格を持っていると、子育てから介護まで幅広い分野で働くことができ、求人も多いため、生涯仕事を続けることができるという。厚労省は同様の仕組みを日本で導入すれば、雇用対策にもつながるとみている。

 問題になるのは、乳幼児の世話と認知症患者も含めた高齢者のケアでは、求められる技術や知識が大きく異なる点だ。

 すべて1人でこなすには高い能力が求められ、資格の一本化には、人材をどう育成し確保するかという課題が横たわる。介護、福祉の現場からは、資格統合に対する反発もあり、同省は時間をかけて検討することにしている。



「高学歴であればあるほど損をする」女性の雇用環境

2015年04月11日 13時41分 アメーバニュース

提供:日刊SPA!

「高学歴の女性が増えていくスピードに対して、女性の雇用環境の改善はまったく追いついていない」と語るのは、『高学歴女子の貧困』(光文社)を監修した水月昭道氏。

「能力だけを見て採用すると全員女性になるので、能力が劣っていても男性を採ることで調整している」なんて人事担当の声もあるとのこと。

 さらに「高学歴だから高飛車なんだろう」という色眼鏡は女性に対してはより厳しい場合が多く、「高学歴でも得をしない」どころか「明確に損をする」のが現状だ。

 現在、保険会社のコールセンターでアルバイトをしている古田律子さん(仮名・30歳)の年収は約200万円。

「銀行を目指して就職活動をしてたんですけどうまくいかなくて。地元の信用金庫の一般職も受けたのですが『慶應の人がわざわざウチの一般職を受けにこなくてもねえ』とニヤニヤされて不採用。総合職じゃなきゃなんてこだわりもなかったのに、使いづらいと思われたのかな。結局、東京でひとり暮らしを続けていますけど、稼いでる同級生、結婚して幸せに暮らしてる同級生に会うのはツラくて、友達との交流も減っています」

 ポスドク問題に関しても、女性はさらに深刻だ。

「’13年の時点で、博士課程で学ぶ女性の比率33%に対し、専任教員の女性比率は22%。国立大学だけで見ると10%台前半。構造的に女性のほうが不安定な非常勤職に追いやられやすいんです」(水月氏)

 早稲田大学大学院、人文系博士課程を経て現在複数の大学で非常勤講師を務める鈴本美津子さん(仮名・36歳)もその一人。

「90分1コマ8000円と聞くと割がいいように聞こえるかもしれないけど、準備や試験の採点も込みで、資料代なんてもちろん出ない。それで週3コマ持ったって月10万円弱ですよ。ほかの書き物仕事を合わせたって手取り20万円になるかどうか……。そもそも修士も博士も奨学金で通っていたから、学費分の借金も500万円近い」

 あげく「女はいつ子供産んでやめるかわからないから任せられない」という雰囲気を醸し出される。

「私は聞かれる前に『結婚・出産の予定はございません!』と宣言してます。続けているのは学生に学ぶ喜びを伝えたいから。でなきゃやってられない」

「教えたい」という純粋な思いに乗っかった大学の搾取。その一番の被害者も女性なのだ。

【水月昭道氏】

’67年生まれ。環境心理学者、評論家。筑紫女学園評議員。『高学歴女子の貧困-女子は学歴で幸せになれるのか-』(光文社)を監修



ガラスの天井:女性と仕事/4 「非正規」から抜け出せない

毎日新聞 2015年04月11日 東京朝刊

 ●職歴と見なされず

 「こんなはずじゃなかった。子育てが終われば、正規の仕事が探せると思っていた」

 東京都内に住む美恵子さん(46)=仮名=は肩を落とす。

 美恵子さんは、高校卒業後、機械メーカーに正社員として入社、経理事務を担当していたが、21歳で「寿退職」した。「結婚した夫の仕事を優先し、辞めるのが当たり前だと思っていた」と振り返る。

 長女が小学校に入学したのと同時に、念願だった再就職を果たした。28歳の時だ。

 「仕事を始めたら、体調がたちまちよくなった」というほど、美恵子さんにとって外で働くことはかけがえのないことだった。派遣会社に登録し、大手金融機関で7年間働いた。その後もほとんどが派遣社員で、事務職ばかり4社をわたり歩いた。

 派遣の仕事を望んでいたわけではない。「もっとやるべきことがあるんじゃないか」と自問自答していたが、出張で家を空けることが多い夫には、子育てや家事の分担はあてにできなかった。

 採用選考の面接では決まって「お子さん、どうするんですか」という質問をされた。子育てに追われ、働ける時間には制約があった。残業はできないと言うと、結果的に採用に至るのは、いつも派遣の仕事だった。

 美恵子さんが病気になってもいたわってくれない夫とはすれ違い、3年前に離婚。経済的に自立するため、本格的に正社員の仕事を探し始めた。子どもは成人し、時間の制約もない。しかし、正社員の職を得るために新たな壁が立ちはだかっていた。「職歴と年齢」だ。

 年齢制限のため、ほとんど面接までたどりつけない。面接までいっても、面接官は派遣で働いた18年間のことには一切触れず、質問はもっぱら正社員だった独身時代の3年間に集中する。

 「まるで海の中を漂うガラスのコップに閉じ込められているよう。目の前に海があっても見えない壁がある感じ」。美恵子さんは今も派遣の仕事を辞められないでいる。

 ●正社員と収入大差

 育児休業制度など、仕事と家庭の両立を支援する仕組みは、この四半世紀の間に整ってきた。しかし、第1子出産後、いまだに6割の女性が離職し、その割合はこの20年、あまり変わらない。

 さらに、いったん正社員の職を手放すと、再び正社員の仕事に就くのが極めて難しいのが女性の雇用の特徴だ。

 社会統計学が専門で、働く女性の問題に詳しいシカゴ大学の山口一男教授の分析によると、家庭の事情で常勤(正社員)の仕事を離職または転職した女性(20?69歳)が再就職した場合、その3分の2以上が非正規雇用となっていることが分かった(2005年の社会階層と社会移動に関する全国調査による)。

 非正規雇用で働く人の約7割は女性(14年労働力調査)と、圧倒的多数を占める。女性労働者の内訳でみると、1997年以降、正規雇用は年々減少し、非正規は増加の一途で、02年には非正規の総数が正規を上回った。

 働く女性の数自体は増え続けているが、増えたのは非正規の人が上積みされた分だ。一方、近年、非正規が増えたといわれる男性の労働者は、今も8割を正規が占めている。

 女性の非正規労働者の平均年収は174万円(13年賃金構造基本統計調査)。正規の女性の7割程度だ。さらに、非正規の職に長くとどまるほど、正社員と収入面で大差がつくだけでなく、将来不安が募り、負のスパイラルに陥っていく。

 ●3カ月更新で15年

 都内に住む弘子さん(55)=仮名=は、離婚後、2人の子どもを抱えながら、働き続けてきた。保育園の給食調理スタッフ、生命保険会社の営業員……。非正規の職ばかりを転々としてきた。現在、勤めている会社では15年間、事務職を続けているが、3カ月ごとの契約更新の繰り返しだ。

 「一生懸命やれば、正社員になれる」。入社時に言われた上司の一言を信じ、正社員になることを目指してきた。業務のために、上司の指示を聞き漏らすまいと、必死に書きためたノートはこの15年間で100冊以上になる。

 「人一倍働いている」と、正社員になれるよう、上司に推薦文を書いてもらったこともあるが、会社からは「事務で正社員になるのは無理」と却下された。

 「どうしたら正社員になれるのか」。毎朝2時間早起きして勉強し、事務に必要な資格を毎年一つずつ取ってきた。しかし時給は上がらない。「派遣だから、努力しても無駄」という上司の一言が胸に突き刺さった。

 自分の老後が気になる年齢になってきた。生活費や教育費に追われ、これまで貯金をする余裕もなかった。退職金もない。「いつまで働かなければならないんだろう」。先行きが見えない不安に、さいなまれている。

 大阪府の時任玲子さん(53)は11年の春、9年間勤めたハローワークを「雇い止め」にされた。失職の理由で思いつくこと??その前年、職場でセクハラに遭った同僚を支援し、上司の不興を買ったことくらいしかない。

 相談員のほか、非正規職員としてはただ一人、ハローワークの職員向けセミナーの講師も担当した。職場で「昇給するには資格を取ったほうがいい」と助言を受け、借金までして夜学に通い、キャリアコンサルタントの資格を取得した。雇い止めにあったのはその直後だ。

 「大事に積み重ねてきたのに、キャリアも生活基盤も一瞬で失った。『非正規だからないがしろにしていい』ということが多すぎる」。時任さんは裁判に訴え出ている。=つづく



2015年4月11日(土) しんぶん赤旗

産別最賃月4000円増で合意
ストで要求が前進
全国港湾


 港の産業別労働組合の全国港湾労働組合連合会(全国港湾)と全日本港湾運輸労働組合同盟(港運同盟=連合加盟)は9日、中央団体交渉で産別最低賃金の月4000円増などで経営側と大筋合意し、12日のストライキ態勢を解除しました。

 全国港湾は、日本全国すべての港湾労働者の労働条件の最低ラインを「産業別労働協約」で決めています。

 今春闘で、全国港湾は消費税増税の影響などによる物価上昇から労働者の生活を守る賃上げを要求。経営側は、2日の中央団交で、1500円増という1%に満たない低額回答を提示しました。このため交渉が決裂しました。

 全国港湾は5日に全国すべての港湾で24時間ストを決行し、要求を前進させました。産別最賃は、現在の月額16万円から、16万4000円となります。

 糸谷欽一郎委員長は、「一糸乱れず取り組んだ団結力が、この回答を引き出した」と強調しています。


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