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最賃が時給8.50ユーロ(約1080円)、それでも批判されるドイツ 

ドイツ 賃上げ 世界経済にとっても朗報

ドイツの賃上げ、世界経済にとっても朗報

By BRIAN BLACKSTONE

2015 年 4 月 13 日 12:42 JST THE WALL STREET JOURNAL

 ドイツの労働者が獲得している賃上げは、他の欧州諸国、いずれは米国や世界の他地域の賃金を押し上げる可能性がある。

 エコノミストらは長年、ドイツの輸出主導型の経済哲学や多額の貿易黒字を批判し、ドイツの戦略は苦境に立つ近隣諸国を犠牲にして需要を奪うことでユーロ圏の債務危機を増幅させた、と批判してきた。

 だが、いまや欧州で最大、世界で第4位の経済規模を誇るドイツで成長が回復し、失業率は過去最低水準近くにあるため、賃金上昇はやがて個人消費を押し上げ、輸入の拡大を通じて貿易黒字を縮小させるはずだ。これらは全てユーロ圏に恩恵をもたらし、世界経済の支えとなる。

 ドイツ金属産業労組(IGメタル)は2月、バーデンビュルテンベルク州の労働者について3.4%の賃上げを確保した。同州の賃上げ率は国内全体の賃金交渉の目安となる。公務員労組や化学労組も高水準の賃上げで合意した。

 ウニクレディトのエコノミスト、アンドレアス・リーズ氏によると、ドイツの賃金は今年3.5%増加し、1990年代初頭以来の高い伸びとなる見通しだ。これは法定最低賃金が最近、時給8.50ユーロ(約1080円)に引き上げられたことも考慮している。消費者物価はほぼ横ばいのため、より多くの給与が労働者の財布に残ることになり、インフレで目減りすることもないだろう。

 リーズ氏は「(賃上げは)競争力と貿易不均衡のリバランス(不均衡是正)に好影響を与える」と述べた。

 今週会合を開く欧州中央銀行(ECB)と国際通貨基金(IMF)の2大機関が、こうした動向に関心を寄せている。

 ECBは、ユーロ圏経済への刺激策として大規模な債券買い入れ計画を導入してから1カ月余りが過ぎた15日に定例理事会を開く。ユーロ圏では3月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比で0.1%低下した。ECBがインフレ率を目標とする2%弱に押し上げるには、こうした刺激策はドイツ経済など健全な経済を経由する必要がある。また、景気回復が遅れているスペインやイタリアなどのユーロ圏諸国が長期のデフレを経ずに競争力を取り戻す上では、ドイツの労務費が上昇して平等な競争条件となれば助けとなるだろう。

 17日からはIMF・世界銀行の春季総会が開かれ、世界の金融当局者が一堂に会する。米国は先週、ドイツの巨額の貿易黒字が需要を抑えることで世界経済に打撃を与えていると強い懸念を表明した。米財務省は9日公表した半期為替報告書で、「ドイツの需要は一貫して弱いため大きく伸びることが絶対不可欠」だとし、原油安やユーロ安を背景に今年のドイツの黒字額は増える見通しだと指摘した。

 IMFは先日、世界経済の弱さが民間投資を抑制している主な要因だと警告した。また、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ前議長も最近のブログで、「総需要が不足している低成長の世界では、ドイツの貿易黒字は問題だ」と表明した。

 ドイツの国内総生産(GDP)は世界経済全体の5%を占めるにすぎないが、ドイツが主に輸出品を供給する側ではなく、他国の輸出品を需要する側に転じれば、成長の原動力を探している世界経済にとって朗報だろう。

 アナリストらは、賃上げは幸先の良いスタートだがそれだけでは不十分だとくぎを刺す。ロンドンのシンクタンク、欧州改革センター(CER)のサイモン・ティルフォード副所長は「実質賃金の大幅な増加が何年も続く必要がある」と述べた。

 ドイツに対する国際的批判を黙らせられるほど、給与増加や消費拡大が長続きするかは疑問が残る。こうした批判では、ドイツの輸出志向モデルが他国を犠牲にして成り立っているとされている。ドイツは昨年、2170億ユーロという過去最大の貿易黒字を計上した。これはGDPの7.5%に相当する。

 米財務省は「過剰黒字は、国内消費ないし投資に対する消極姿勢を反映しており、政策担当者に内需不足を訴える警鐘となるはずだ」と指摘した。

 ただ、ドイツ経済の動向は、米国に次ぐ世界第2位の経済規模を持つユーロ圏19カ国の基調を左右する。需要水準が高まれば、ドイツの産業との関連が深いフランス、オランダ、スペインなどからの輸出が増えるかもしれない。ドイツの方針転換をきっかけにユーロ圏経済がはっきりと上向けば、誰もが恩恵を受けるだろう。

 またドイツの動向は、世界経済のもっと根深い問題を浮き彫りにしている。それは、賃上げや内需を犠牲にして財・サービスを世界市場に供給することに主眼を置いている国があまりにも多いということだ。

 CERのティルフォード副所長はドイツの貿易黒字について、「2000億ユーロという額は、世界経済という文脈ではそれほど大きな額には聞こえないかもしれないが、(需要が弱い)現時点のこの世界経済という文脈においては重大な問題だ」と述べた。

 この点で、最近の賃上げは正しい方向への一歩だ。ドイツの貿易黒字は近年、非ユーロ圏諸国に対して増大する一方、ユーロ圏諸国に対しては大幅に縮小している。ECBの統計によれば、スペインやポルトガルなど賃金が落ち込んでいるユーロ圏諸国は、ドイツとの競争力格差が縮小した。

 この戦略にリスクがないわけではない。ドイツの都市部では既に住宅バブルの兆候が散見される。所得増加に低金利が重なることで、資産価格はさらに膨張する恐れがある。

 労務費の増加も長期的には競争力を低下させ、欧州の「病人」と揶揄(やゆ)された約10年前からドイツが進んできた歩みが台無しになりかねない。ING銀行のエコノミスト、カルステン・ブルゼスキ氏は「逆戻りする可能性がある」と述べた。

 アナリストの間では、ドイツの政府と企業が賃上げ、財政出動、投資という多面的アプローチに取り組まない限り、賃上げで何らかのリバランスが実現しても一過性のもので終わりかねないとの声もある。

 海外からの批判にもかかわらず、ドイツ国民は輸出や貯蓄、均衡予算を基礎とする経済モデルにかなり満足している様子で、浪費国に転じて批判を打ち消そうという気はあまりなさそうだ。

 ティルフォード副所長は「基本的にはドイツ経済がユーロ圏内で過熱する必要がある」としつつも、「ドイツ国民がそれを政治的に容認するようには思えない」と述べた。


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