マタニティハラスメントは人権問題 労働者が働く環境とはとても呼べない 

マタハラ根絶を 北九州の女性たち法整備訴え会見 国も法案提出へ動く 東京

マタハラ根絶を 被害体験語り、法整備訴え 北九州の女性たち、東京で会見 国も法案提出へ動く

2015年07月11日 11時22分

 ■生きる働く■ 
 妊娠や出産、育児を理由に、解雇や降格など職場で不利益な扱いを受ける「マタニティー・ハラスメント」(マタハラ)。被害を受けたとして、勤務先の会社と係争中の女性たちが6月末、東京都内で記者会見し、体験を語りながら法整備の必要性を訴えた。

 「やっと授かることができた命なのに、妊娠は悪いことなの?」

 北九州市のAさん(34)はこう自問し続けたという。介護施設で1年更新の契約社員として働いてきた。結婚8年目を迎えた2013年夏に念願の妊娠が判明。ところが、妊娠を報告した後も入浴介助や車いすを抱えての階段昇降など、肉体的に負担の大きい業務をさせられた。

 つわりはひどく、仕事中に倒れそうになり、おなかも頻繁に張った。所長に仕事内容を変更してほしいと相談したが、「働く覚悟はないのか。妊婦だからって特別扱いしない」「一生懸命やらないなら辞めてもらう」と責められたという。

 その後、所長や同僚から無視されるようになった。医師から切迫早産の診断が出たと訴えても、信じてもらえなかった。Aさんは精神的に不安定になり、うつ病と診断された。昨年8月、会社と所長を相手取り、慰謝料を求める訴訟を起こした。Aさんは「妊娠したら辞める人ばかりの職場だった。高齢者を助ける仕事だし、大きな企業だから大丈夫だと思っていたのに残念」と話す。

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 マタハラは、妊娠・出産直後の問題だけではない。

 厚生労働省は1月、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法の解釈をめぐる通達を改正。「妊娠・出産、育児休業等を契機とした不利益な取り扱い(いわゆるマタハラ)は原則違法」との表現を加え、従来より「マタハラの範囲」を広く捉えた。例えば、育休などが終わってから1年以内に不利益な取り扱いがなされたときも、例外を除き、違法とみなされるという。

 関西の鉄道会社で働くBさん(36)は、育休や短時間勤務制度を利用していた。ところが、子どもが3歳になったとたん、8~10時間の不規則勤務の職場へ異動に。共働きの夫と協力しても保育園の送迎が難しくなり、勤務時間への配慮を申し出た。

 上司からは「私は両親の介護のため妻に会社を辞めさせた」「24時間保育に預けたらどうか」などと言われ、退職をほのめかされたという。Bさんは「仕事を続けるのが迷惑なのではないかと思わせるように精神的に追い詰め、自分から辞めるように仕向けている。誰もが子どもを育てながら働ける社会になってほしい」と力を込める。

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 同省によると、2014年度に全国の労働局に寄せられたマタハラ関連の相談は前年度より147件多い3591件。ただ、連合が働く女性千人に行った調査では5人に1人が経験したことがあると回答しており、氷山の一角と思われる。

 政府は、6月26日に決定した「女性活躍加速のための重点方針」に、マタハラ防止のための関連法案を来年の通常国会に提出する方針を盛り込んだ。安倍晋三首相も「不利益な取り扱いは根絶しなければならない。法的な措置も含めて、企業の取り組み強化策を進める」と発言している。

 マタハラの被害者支援に取り組む「マタハラNet」の新村響子弁護士は「法律でマタハラの定義を明確にし、具体例を周知して、妊娠・出産した労働者が働きやすい環境を整える義務を企業が負うようにすべきだ」と話している。

=2015/07/11付 西日本新聞朝刊=


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